世界食糧デーにあたり、海外と日本の食糧状況を考えてみる

今日、10月16日は「世界食糧デー」。世界食糧デーは世界の食料問題を考える日として国連が制定した日で、

世界の一人一人が協力しあい、最も重要な墓本的人権である「すべての人に食料を」を現実のものにし、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことを目的としています。

引用元:日本国際飢餓対策機構

世界の食糧状況。9人に1人が飢餓に苦しんでいる

現在、世界では9人に1人の割合で飢餓の状態にあるという。ここでいう飢餓とは、食べ物や栄養が足りずに身体の発育に支障をきたしていることである。5歳未満の小さい子供に限っては、二の腕の直径が約3.6cmに満たない場合を飢餓状態としているそうである。今、世界では約3.5秒に1人が飢餓により亡くなっているという。

国連の食糧支援機関であるWFPの報告によると、世界で飢餓の状態の人が最も多いエリアはアジア・太平洋地域で、5億6千万人以上いるという。人口に対する割合が多いのはアフリカ地域で、4人に1人が飢餓状態であり、なかでもエチオピア、ザンビア、モザンビーク、エリトリアなどが特に深刻な状況となっている。

過去20年間をみると、世界全体では飢えに苦しむ人が減少しているという。しかし、アフリカだけは悪化しており地域間の格差がひらいているようである。

飢餓の要因について

なぜ、アフリカでは飢餓の人の割合が高いのだろうか。要因について調べてみると、賛否両論あるものの干ばつなどの自然災害、人口増加など複数の要因が指摘されている。そのなかで個人的に注意をひかれたものに「農民一人あたりの穀物の生産性の低さ」と「政治の混乱」があった。

アフリカの食糧生産性の低さについて、次のような記事がある。

アフリカの一般的な農村には農業機械が入っておらず、牛などの家畜力もめったに使われません。したがって、農民が耕して管理できる面積には限りがあります。つまり、土地生産性が低いだけではなく、農民一人当たりの農地も狭いわけです。ですから、農民一人当たりの穀物の生産量、すなわち穀物の労働生産性もとても低くて、ざっといってアジアの途上国の3分の1、日本の8分の1、アメリカの300分の1くらいしかありません。
(中略)
この生産性水準では食糧を自給できないということです。先進国ならわずか1%か2%の労働力で国民全体の食糧穀物を生産できますし、アジアの途上国でも30%ほどの労働力があれば主食は十分自給できます。ですが、サブサハラ・アフリカは労働力の60%を農業に投入しているというのに、あと40%の人々を養えないのです。

引用元:視点・論点 「アフリカの食糧・農業問題」 | 視点・論点 | 解説委員室:NHK

人口の増加は、アフリカと同様にアジアでも著しいものがある。しかし、それにも関わらず、アジアの飢餓状況は20年前で約7.6億人だったものが、現在は約5億6千万人にまで減少している。アジアでは人口も増えているが、アフリカとは異なり食糧生産も伸びている。

アジアの食糧増産については、1940年代から始まった「緑の革命」と呼ばれる、高収量品種の導入や農薬、化学肥料などの使用によって、穀物の収穫量増大をはかったことが大きいと言われている。緑の革命は、飛躍的な穀物の増産により飢餓を救った面がある一方、化学肥料、農薬などの大量使用による環境問題などの負の面も指摘されている。

「政治の混乱」に要因があると指摘しているのは、日経ビジネスのWEBサイトの記事である。

アフリカの貧しさの原因の多くは、政治の混乱がもたらしたものです。私たちが連想するような飢餓に苦しめられているアフリカ諸国のほとんどでは、ソマリアや南スーダンを筆頭に、政治的混乱や内戦、部族間の対立、政府による少数民族の迫害、独裁者による圧政、という具合に、深刻な政治問題を抱えています。

そのために、難民が生まれ、産業は発達せず、食料も行き届かず、満足に食料を手に入れられない人々がたくさん出てきてしまうわけです。

引用元:世界人口70億人突破 食料危機のホントに迫る | NEXT NIPPON

まずは食品ロスを減らすことから

日本の食糧状況について見てみると、問題のひとつに食べられるにもかかわらず捨てられている食糧、いわゆる「食品ロス」がある。その量は年間で800万トンとも言われている。2011年の世界の食糧援助量が390万トンであったことから、食品ロスの量がいかに膨大であるかがわかる。

食品ロスを減らせば、ただちにアフリカなどで発生している食糧問題を解決できるかはわからないものの、食糧自給率が約40%であり、世界有数の食糧輸入国でもある日本が食品ロスを減らすことができれば、食糧の国際的な価格が下がり、飢餓に苦しむ国々が輸入できる量が増えるかもしれない。

また、現在の世界の人口と食糧生産量を考えると、生産される食糧が無駄なく全ての人にいきわたれば、飢餓はなくなると言われており、食品ロスを減らすことによって生まれた余剰分が、飢餓に苦しむ地域へ回る可能性を生むことにもつながるかもしれない。

今日の世界食糧デーにあたり、まず身近な食品ロスを減らすことを心掛けていきたいと思う。

参考WEBサイト

Text:sKenji