港湾護岸近くの観測井戸で過去最大のセシウム25万ベクレル、全ベータ780万ベクレルを記録(1リットル当たり)
10月14日(火曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。
10月14日、台風19号の影響とされる漏洩検知
※10月14日、台風19号の降雨の影響により以下の各建屋にて漏えい検知器が動作。
<4号機タービン建屋>
・平成26年10月14日午前1時30分頃、4号機タービン建屋1階搬入口付近の漏えい検知器が動作。現場状況を確認したところ、搬入口より雨水が吹き込んでいること、当該検知器近傍の滞留水移送配管等から漏えいがないことを、同日午前2時8分に確認。
<2号機タービン建屋>
・同日午前1時59分頃、2号機タービン建屋1階搬入口付近の漏えい検知器が動作。
現場状況を確認したところ、搬入口より雨水が吹き込んでいること、当該検知器近傍の滞留水移送配管等から漏えいがないことを、同日午前2時21分に確認。
雨水の吹き込みのみならず、「特定核燃料物質の防護」のためにも搬入口の改修を行ってほしい。
<1号機タービン建屋>
・同日午前3時7分頃、1号機タービン建屋1階南側電気品室の漏えい検知器が動作。現場状況を確認したところ、1号機廃棄物処理建屋入口上部からの水の流入を、同日午前3時38分に確認。
<3号機原子炉建屋>
・同日午前3時13分頃、3号機原子炉建屋1階北東の漏えい検知器が動作。現場に設置してあるウェブカメラで確認したところ、原子炉建屋1階西側からの水の流入を、同日午前3時30分に確認。
台風18号で漏洩が検知されたのと同様の場所と状況。
10月6日のページには次のように記載した。
「事故から3年半が経過しても、1号機ではダクトの開口部を通して隣の建物から雨水がタービン建屋に流れ込む状況。3号機にいたっては、建屋の西側から流れ込んだ雨水が、建屋北東側の漏洩検知器を作動させてしまう。」
前週の漏洩検知器作動から、応急処置も行えなかったということか。
9月30日、新事務棟で感電事故に遭った作業員は1カ月程度の加療が必要。診断は「電撃症」
※9月30日午前8時30分頃、新事務棟において、電気関係作業を行っていた協力企業作業員が感電したとの連絡が緊急時対策本部に入ったことから、同日午前8時32分に救急車を要請。感電した協力企業作業員は意識があり、構内の救急医療室にて心電図検査を実施して異常がないことを確認。同日午前9時22分に救急車にて、いわき市立総合磐城共立病院に搬送。(既出)
10月11日、同病院より「電撃症」との診断書が発行され、約1ヶ月程度の加療を要する見込み。
1号機~6号機
新規事項なし
◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
※滞留水移送は停止中
◆2号機
1号機と同じ4項目に加え、
・2号機タービン建屋地下→3号機タービン建屋地下へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時46分~)
※滞留水移送は稼働中
◆3号機
1号機と同じ4項目に加え、
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年10月11日午前10時5分~)
※滞留水移送は稼働中
◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
共用プール・水処理設備および貯蔵設備
新規事項なし
◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。
◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置 水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中
・増設多核種除去設備ホット試験中
地下水バイパス ~通算27回目となる海洋への排出を完了。排出量は1512トン
同日午前10時15分に漏えい等の異常がないことを確認。同日午後4時10分に排水を停止。排水停止状態に異常がないことを確認。なお、排水量は1,512m3。
H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果
◆最新のパトロール
10月13日のパトロールにおいて、新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。
◆H4エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
◆H6エリア
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
1~4号機タービン建屋東側 ~海の間近の観測ポイントで過去最大の放射能汚染を検出。13日のサンプルでは海水の汚染度は高くないが、今後の動きに懸念も
<最新のサンプリング実績>
10月13日に採取した地下水観測孔No.1-6の地下水の分析値について以下の通り変動がみられた。
<今回(10月13日)採取分>
セシウム134 61,000Bq/L(過去最大値)
セシウム137 190,000Bq/L(過去最大値)
マンガン54 700Bq/L(過去最大値)
コバルト60 3,600Bq/L(過去最大値)
全ベータ 7,800,000Bq/L(過去最大値)
<前回(10月9日)採取分>
セシウム134 17,000Bq/L
セシウム137 51,000Bq/L
マンガン54 290Bq/L
コバルト60 2,100Bq/L
全ベータ 2,100,000Bq/L
なお、その他の分析結果については、前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。今後も監視を継続していく。また、地下水観測孔No.1-6の位置する1・2号機取水口間では、海洋への流出防止を目的として、ウェルポイントにおける地下水の汲み上げを継続している。
その他、昨日発表された資料では、2,3号機ウェルポイント汲み上げ水ではトリチウム濃度が過去最大値を記録した。
報道によると台風による雨でトレンチ内の汚染された滞留水が流出した可能性があるということだが、流れが発生するということは流れ出ていく先があるということだ。東京電力が同日発表した護岸近くの海水の分析結果では、2号機取水口付近の分析結果はセシウム134が4.1、セシウム137が16、全ベータが62(単位はいずれもBq/L)と、観測孔で測定された高濃度の地下水に比べればはるかに低い値を示している。いずれもサンプル採取は10月13日なので、今後、海水の放射性物質濃度が上昇しないことを祈りたい。
1~4号機サブドレン観測井
新規事項なし
※「福島第一原子力発電所周辺の放射性物質の分析結果」のページでの該当するデータ公開も行われていない。
地下貯水槽
<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。
以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年10月14日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太
10月13日分のデータでは、地下貯水槽ドレン孔水で最高値は「iの北東側」での350Bq/L。地下貯水槽漏洩検知孔水では「iの北東側」での48,000Bq/L。(ともに全ベータの値。1立方センチ当たりで発表された数値をリットル単位に換算)