ハフィントンポストに驚きの見出しが躍った。
原発再稼働は「国民全体の願い」 経団連・榊原定征会長
朝日新聞社提供という記事はこう続ける。
経団連の榊原定征会長は8日、原発の再稼働について、「安全が確認された原発は、速やかに再稼働すべきだ。国民全体の願いでもある」と述べた。東日本大震災の被災地で、東北電力女川原発(宮城県)の防潮堤工事などを視察した後、報道陣に語った。
何をもって「国民全体の願い」なんて言えるのだろうか。少なくとも反対している人間は、ここに1人いる
見出しと記事を見て慄然とした。憤然とした。発言の撤回を求めなければと思った。
このニュースを他紙がどう伝えているのかネットのニュースを検索してみると、「国民全体の願い」という言葉を記事に書いているのは朝日新聞だけだった。朝日新聞にしても、本体である朝日新聞デジタルでの見出しは、
「安全確認の原発「再稼働すべき」 経団連・榊原会長
となっている。「国民全体の願い」という言葉を見出しに取り上げたのはハフィントンポストの編集者なのかもしれない。他紙での扱いは次のような感じでほぼ横並び。
「供給に不安があり、電力料金がどれだけ上がるか分からない状況が続けば日本経済の成長に大きな足かせになる」と強調した。
「全国の安全が確認された原発については、速やかに再稼働するべきだ」と述べました。
「安全が確認された原発は早期に再稼働すべきだ」と述べた。
3年前に経験したような電力供給制限になると、国民生活に影響を及ぼすし、経済の大きな足かせに
「10兆円の国富が毎年流出している。早期再稼働は国家的課題」と語った。
報道を並べて見る限り、榊原氏が本当に「国民全体の願い」と発言したのかどうかはわからない。あるいは朝日新聞の勇み足だった可能性もあるかもしれない。ただ、榊原氏が全国の原発再稼働を切望しており、当然再稼働されるべきと主張しているのは間違いなさそうだ。
人それぞれ、どのような考えや主張を持っても自由だが、仮に「国民全体」なんて言葉を持ち出していたとしたら、それはやはり行き過ぎだ。榊原氏の発言の録音データが開示されることを期待する。
文●井上良太