【東北の名所】初夏の奥入瀬渓流

青森県の奥入瀬川(おいらせがわ)は、十和田湖を源流とし、太平洋に注いでいる。長さは71㎞。川の最上流部である十和田湖畔の子ノ口(ねのくち)から焼山までの約14㎞の区間を特に奥入瀬渓流と呼ぶ。日本を代表する渓谷美として有名な清流である。

奥入瀬渓流について

奥入瀬の子ノ口から焼山までの区間は、川に沿って遊歩道が整備されており、美しい渓流を見ながら散策することができる。道の途中には、休憩できるベンチやトイレも設置されている。

歩道のほか、自動車が通行できる道路も渓流に並行して作られており、遊歩道ほど間近ではないものの、車から奥入瀬渓流を楽しむことができる(※運転者は除く)。

遊歩道は、子ノ口から焼山まで歩くと、4~5時間ほどかかる。もし、時間、体力等の理由により、全てを歩くことができないならば、主な見どころは、銚子大滝から石ヶ戸の間に集中しているので、この区間の一部を歩くだけでも、奥入瀬の魅力を感じることができると思う。

道路には、路線バスが走っており、奥入瀬渓流区間では、停留所がおおむね2kmごとにある。子ノ口や焼山などの駐車場に車を停めて、行けるところまで歩き、帰りは、バスを利用するといいかもしれない。ただし、バスの本数が少ないので注意が必要である。

出典元:十和田市観光協会(※不鮮明の場合は下記リンクを参照下さい)

奥入瀬渓流を歩く

先週、岩手、青森の東北2県を旅行した際に、奥入瀬渓流を歩いてきた。歩いた区間は、子ノ口から石ヶ戸までの約9㎞。

子ノ口の駐車場にレンタカーを停めて歩き始める。遊歩道は、子ノ口にある橋のたもとから始まっている。

奥入瀬渓流は、水の流れが比較的速い場所が多いのだが、子ノ口付近は、川幅も広く、流れも穏やかである。そのため、川底がはっきりと見え、水の色も美しいエメラルドグリーンとなっていた。

子ノ口にて。源流部に架かる橋から撮影。

ちなみに遊歩道は、だいたい大人2、3人が歩けるほどの幅があり、平坦で歩きやすい道となっている。

子ノ口から30分ほど歩くと銚子大滝が現れる。奥入瀬渓流は、火山灰や軽石の堆積物が浸食された作られた谷の底を流れる川である。谷の両側には、無数の滝があるが、奥入瀬渓流には、この銚子大滝しか存在しない。滝は、高さおよそ7m、幅20mほどで、魚止めの滝とも言われている。この銚子大滝があるために、昔、十和田湖には魚がまったくいなかったとも言われている。

銚子大滝の先、約3㎞の区間には、渓流の両サイドの崖に合計6本の滝がある。遊歩道からは、わかりづらいものもあるので、見過ごしてしまわないよう注意が必要である。

この区間の森には、見上げるような高い樹木も多く、木々に圧倒される。

奥入瀬というと、まず渓流をイメージするかもしれないが、シダやコケも大変美しく、驚いた。遊歩道わきに設置された説明版の1つに、「奥入瀬特有の美しい景観は、じつはそうしたところ(コケやシダの植物が多い)に大きな秘密が隠されているのです」と書かれていたが、その解説に思わず納得してしまう。

「雲井の滝」の先にある「飛金の流れ」から「石ヶ戸の瀬」付近までの区間は、「阿修羅の流れ」など変化に富んだ川の流れとなっており、奥入瀬渓流のハイライト区間と言われている。自動車で奥入瀬を見てまわられる方も、石ヶ戸の駐車場に車を停めて、この付近は、ぜひ歩かれることをおすすめしたい。

雲井の滝

石ヶ戸休憩所から、約800mほど先(下流)に行った場所には、3つの渓流が交わる「三乱の流れ」がある。特にツツジが咲く新緑の季節には、木々の緑とツツジの赤が美しい。

私の場合は、この石ヶ戸までの散策となった。奥入瀬渓流のあまりの美しさに想定以上の時間を要してしまった。観光案内のパンフレットなどに記載されている所要時間よりも、余裕を持って歩いた方がいいかもしれない。

三乱の流れ

奥入瀬渓流・子ノ口

奥入瀬渓流ミニ写真館