2014年6月7日 今日の東電プレスリリース

地下水バイパス4回目の海洋排出はグループ1のタンクからか。検査結果公表

6月7日(土曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

海洋放出に向けての地下水バイパスの検査結果

6月6日の日報では、地下水バイパスグループ2の詳細分析結果が公表されたが、この日はグループ1の詳細分析結果。排水は当初スケジュール通りの順番で行われることになるのか?

※1~4号機原子炉建屋等への地下水流入抑制対策として設置した地下水バイパス設備について、地下水バイパス一時貯留タンクグループ1の当社および第三者機関による詳細分析の結果[採取日5月28日]は同等の値であり、共に運用目標値を満足していることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

漏洩したノッチタンク周辺の検出結果公表。思いのほか高い放射線量

<漏えいに至った推定原因>
平成25年10月頃、当該ノッチタンク群に堰内雨水(平成25年8月に漏えいが発生したH4エリア堰内雨水を含む)の移送を実施し、その際、ノッチタンク天板からの水位を20~30cmで移送を終了した。その後、タンク天板の開口部から雨水が進入しタンク水位が徐々に上昇したため、タンク天板上部から11cm下にあるボルト穴から滴下に至ったものと推定。漏えい水が混入したノッチタンク群周辺堰内の溜まった水(約4m3)については回収を完了。なお、漏えい発見時において堰外への漏えいがないことを確認しているが、当該堰については、堰内雨水を一時貯留するものであったことから、管理対象外としていた。(既出)

<漏えい範囲>
漏えい範囲については、漏えい発見時において当該ノッチタンク群堰外への漏えいがないことを確認していたが、過去の当該堰外への漏えいを含め、詳細調査を実施。
当該堰周辺の70μm線量当量率測定(ベータ線)*結果において、当該堰ドレン弁表面は0.008mSv/h、ドレン弁から近距離の砂利表面は0.057mSv/h、ドレン弁から数メートル離れた場所の砂利表面は0.015mSv/hであった。
その後、測定範囲を拡大するとともに、測定ポイントを増やして土壌の70μm線量当量率測定(ベータ線)*を実施したところ、ドレン弁から約40m先まで連続的に0.004~0.028mSv/hの範囲で線量があることを確認。
このことから、当該ノッチタンクから滴下した水が、当該堰の外へ漏えいしたと判断した。
なお、調査結果より、線量が確認された範囲が限定的であることから、海洋への影響はないと判断。線量が確認された範囲の土壌については、回収作業を実施している。

<漏えい量>
当該ノッチタンクからの漏えい量については、本年2月末のパトロールにおいて当該ノッチタンクに異常がなかったことから、漏えい開始時期を本年3月以降と仮定し、当該ノッチタンク内水の4m3が当該堰内に漏れたと推測。
当該ノッチタンク内水の分析結果(全ベータ;72,000Bq/L)、および当該堰内に溜まっていた水の分析結果(全ベータ値;9,800Bq/L)の比より、当該ノッチタンクから当該堰内に漏えいし、残っている量は約0.6m3と評価した。
よって、漏えい水が混入した当該堰内の溜まった水(4m3)に含まれる放射性物質の全放射能量(ベータ核種合計)は、約4.3×107Bq、堰外に漏えいした水(約3.4m3)に含まれる放射性物質の全放射能量(ベータ核種合計)は、約2.5×108Bqと評価した。

*測定対象物から約5cm離れた箇所における測定

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

登録センター西側道路上でのガソリン漏れの続報

※6月6日午前8時30分頃、構内登録センター西側道路上において、協力企業が使用している車両の燃料配管より油漏れ(ガソリン)を発見。車両のエンジンを停止したところ、漏えいは停止。漏えいしたガソリンは、コンクリート床面に約3m×約1mの範囲で溜まっていることから、受け皿を設置し、漏えい箇所は吸着マットおよび中和剤により処置を実施。なお、同日午前8時53分に一般回線にて双葉消防本部へ連絡。同日午前10時29分に双葉消防本部より「危険物の漏えい事象」との判断を受けた。(ここまで既出)

その後、同日午後2時10分に漏えいしたガソリンの回収作業を終了。漏えい原因を調査した結果、車両走行時に道路脇の側溝上を通過した際、側溝のグレーチング蓋が跳ね上がり車両下部に接触したことにより、燃料配管が損傷したものと推定。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

午前11時、協力企業作業員が体調不良で搬送(続報)

同日午後1時46分、搬送先の病院に到着し、診察を受けた結果、持病と判断された。当該作業員については、診察後に帰宅している。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

1号機~6号機

新規事項なし

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目

◆3号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置運転中
・第二セシウム吸着装置(サリー)停止中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

地下水バイパス揚水井の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

高濃度滞留水を誤って移送した焼却建屋からプロセス建屋への移送を実施中。建屋外側のサブドレン(井戸)のサンプリングについて記載

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
6月6日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

1~4号機タービン建屋東側の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

1~4号機サブドレン観測井の状況

新規事項なし

地下貯水槽の状況

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年6月7日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年6月7日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太