先週末に山梨県の富士河口湖町で開催されている「富士芝桜まつり」に行くことを考えていた。しかし、今年の開花は遅れており、肝心の芝桜の方が、前日の金曜日時点では、まだ四分咲きとのことであった。翌週に延期することも考えたのだが、一足先に芝桜の写真を撮ろうと思い直して、急遽、「富士芝桜まつり」へ行くことにする。ついでに、今年初のキャンプを楽しみながら、富士市を中心とした静岡県東部の夜景写真も撮ることにした。
富士市へ。夜のとばりが下りてくる。そして、夜景。
土曜日、遅い朝食をとると、溜まっていた服を洗濯をする。その後、テントや寝袋など、キャンプに必要なものをひっぱり出して揃えると、それらをバイクに載せた。荷台は道具で山のようになった。
準備が整うと三島を出発。通常ならば、国道1号を走るのだが、この日は天気もよく、沼津の千本松原沿いに走ることにする。風が気持ちいい。途中、海辺で少し休憩した後、再び、富士市のキャンプ場へ向けて出発した。
キャンプ場に到着すると、場内を歩き回って一夜を過ごす場所を探した。気に入った場所が見つかると、そこにテントを張る。
出発が遅かったために一息つくと、もう日は傾き始めていた。持って来たストーブ(調理用バーナー)で、レトルトのカレーとご飯を暖める。
街を眺めながら、カレーライスを食べていると、段々と夜のとばりが下りくる。それにつれ、街の灯りもぽつぽつと灯りだす。
食事を終え、あたりが真っ暗になると、お次は缶ビールを開ける。キンキンに冷えているわけではないのだが、野外で飲むビールは格別だった。遠くは沼津、三島まで続く街の灯りを眺めながら、至極の時を過ごしたのだった。
夜明け
翌朝、日の出前に目が覚める。まだ、太陽は姿を見せていないものの、辺りはうっすらと明るくなっていた。
出入口のファスナーを開けて、テントからはい出る。ひんやりとした空気が心地いい。東の空には、美しいグラデュエーションが描かれていた。
わたしは、キャンプ場内から続いている坂道を少し登り、より見晴らしいのいい場所で、日の出を待つことにした。
街の写真を撮りながら待っていると、70、80mほど離れていただろうか、一羽の大きな鳥が飛んできたかと思うと、木にとまった。まだ薄暗かったのだが、特徴的なシルエットから、その鳥がフクロウだと分かった。フクロウはこっちを見ているようだった。そして、わたしのことを侵入者と思ったのか、まるで威嚇するかのように、4、5度と鳴き声を発した。私は小さな興奮を覚え、カメラを向けた。しかし、フクロウは、カメラを向けた途端に飛び去ってしまった。
ごくわずかな時間ではあったが、自然の営みに少し触れることができたようで、言いようのない幸せに包まれた。
富士市
Text & Photo:sKenji