2014年4月25日 今日の東電プレスリリース

タンクローリーが路面に敷き詰められた鉄板を踏んで破損。この「事故」の状況は、どうして詳しく知らされないのか?

4月25日(金曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点を中心に読み解きます。

4月10日に発見された変圧器からの油漏れへの対処

5・6号機所内変圧器6Bで、4月10日に発見された絶縁油のピット内への漏洩についての続報。23日から絶縁油の回収、ピット内の清掃、漏洩防止の措置を行ったと報告。

※4月10日午後1時10分頃、5・6号機所内変圧器6Bにおいて、変圧器下部にある電線用ピット(約2m×約3m)に絶縁油と思われる油溜まりがあることを、パトロール中の当社社員が発見。変圧器からの油の滴下等は確認されていない。なお、当該変圧器については、現在使用されていない。また、同日午後1時37分に双葉消防本部へ連絡を実施。(ここまで既報)

その後、4月23日から当該ピット内の漏油回収(約200L)および清掃作業を実施し、4月24日に終了。

また、油流入のあった当該ピット電線管貫通口にシール処理を実施し、

ピット内への漏えい防止処置を実施。

原因については、今後調査を実施。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

理由は分かりませんが約2週間放置。緊急度が高くないから後回しということかもしれません。後回しにされるということは、それだけ緊急性の高い作業が他に山づみという状況をしめしているのかもしれません。

タンクローリーが敷鉄板を踏んで破損。燃料の軽油を漏らす

この日報の記載は謎めいています。不明点をあらかじめ記しておきます。

・「発電所構内予備変電所建屋付近の五差路」の場所が分からない

第一原発の構内のほぼ真ん中に複雑な形状の五差路があり、中央五差路などと呼ばれますが、予備変電所はより海に近い場所、原子炉建屋方面に坂道を下った開閉所(高圧電線を引き込む建屋)の近くにあるはずなので、中央五差路とは別の五差路だと思われます。

・油漏れが発生した状況が分からない

「道路上の敷鉄板を踏んで接触したことにより、タンクローリー車の燃料(軽油)が道路上に漏れた」と報告されていますが、この表現から状況を想像するのは困難です。
敷鉄板は放射性降下物等で汚染された路面などに、工事用の大きな鉄板を敷き詰めることで地表からの放射線を軽減させる目的で設置されたものです。サイズは1.5×6m、重量2t前後の大型のものが使われているように写真からは見受けられます。タンクローリーも他の車両も、鉄板が敷き詰められた道を走るのが通常の姿です。踏むための鉄板を踏んで、燃料タンクが破損するということは、鉄板と地表の間に隙間などがあって、ローリーのタイヤが踏んだ反動で鉄板が持ち上がって燃料タンクに接触したということなのでしょうか?
路面を養生している敷鉄板が、車を傷めるほどに持ち上がったのだとすると、この仮設路面は非常に危険。車両が通行するたびに車両自体にぶつかる恐れがあるということ。近くに人がいたら非常に大きな事故が発生する恐れがあります。

あるいは、路面に敷き詰めた鉄板とは別に、側溝や凹地を塞ぐ、より小さな鉄板が設置されていて(東電の日報には「道路上」のありますが)、その一端をタイヤで踏んだことで反対側が跳ね上がってタンクにぶつかったのかもしれません。

※4月25日午前11時15分頃、発電所構内予備変電所建屋付近の五差路において、燃料移送中のタンクローリー車の下部が、道路上の敷鉄板を踏んで接触したことにより、タンクローリー車の燃料(軽油)が道路上に漏れたことを協力企業作業員が発見。同日午前11時23分、双葉消防本部へ連絡。油はタンクローリー車が走行した範囲(5m程度)で滴下したが、タンクローリー車の燃料タンクに入っていた約20Lの燃料(軽油)が空になったことにより漏えいは停止している。漏えいした油は、タンクローリー車の右側に約1m×約2m、左側に約1m×約1mの範囲で、地面(土)に染みこんでいることを確認。漏えいした油については、吸着マットにより回収を実施。同日午後0時22分、双葉消防本部より「油漏れ事象」であり「事故事象」ではないと判断された。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

いずれにしろ、鉄板がばたつく状況はきわめて危険です。跳ね上がった鉄板に挟まれて足切断、といった重篤な事態を招く前に鉄板敷きの路面の再点検が必要です。

消防署が「事故じゃなくて事象」と判断したのは油漏れという現象について。鉄板が車両を傷つける状態は、「事故が発生する前に対処」していただきたい。

1号機

新規事項なし

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

2号機

1号機と同じ4項目に加え、2号機タービン建屋地下から「集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)」への高濃度滞留水移送の開始を記載。

・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月25日午前10時57分~)

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

2号機から3号機のタービン建屋へ。3号機から集中廃棄物処理施設へというバケツリレー的な移送ではなく、集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への直送が始まったと読み取れます。

3号機~6号機

新規事項なし

◆3号機
3項目は1号機と同じ内容。使用済み燃料プールについては停止についての記載
・使用済燃料プール循環冷却系については、使用済燃料プール内の燃料交換機本体撤去作業に伴い、4月23日~6月上旬の間、原則毎週月曜日午前7時~土曜日午後4時の間停止予定(毎週土曜日午後4時~月曜日午前7時の間は運転予定)

また、高濃度滞留水の移送を実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年4月24日午前10時34分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

◆共用プール

・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

・4号機使用済燃料プールから共用プールへの燃料移動作業において発生する構内用輸送容器(キャスク)内包水(4号機使用済燃料プール水)および構内用輸送容器(キャスク)内洗浄水については、沈降分離処理し、共用プール低電導度廃液受タンクで貯水しているが、そのタンクが満水レベルに達したことから、平成26年4月25日午後1時26分、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)への移送を開始。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

◆水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし

・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

焼却工作建屋の水位、焼却工作建屋西側サブドレン水の分析結果

水位とサブドレン水の分析結果を記載

<最新の集中廃棄物処理施設各建屋水位>
各建屋内の滞留水の深さについては、常設水位計による監視において、プロセス主建屋への移送後の水位と比較し、焼却建屋では0.5㎝の上昇。工作建屋では水位に変化はなかった。引き続き監視を継続。
4月25日午前6時現在の各建屋深さ
・焼却建屋:深さ18.1cm(4月14日移送停止後と比較し、0.5cm増)
・工作建屋:深さ5.0cm(4月14日移送停止後と比較し、変化なし)

<最新のサブドレン水サンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

H4,H6エリアタンク周辺観測孔(周辺排水路含む)の状況、タンクパトロール結果

◆最新のパトロール

<最新のパトロール結果>
4月24日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β線による70μm線量当量率)は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による水位監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

◆H4エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

◆H6エリア

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

1~4号機タービン建屋東側の状況

サンプリングについての記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

1~4号機サブドレン観測井の状況

1~4号機建屋に隣接した井戸(サブドレンピット)内の溜まり水から放射性物質が検出されたのを受けて、流入経路を確認するための観測井戸を設置し確認を行っている。

新規事項なし

地下貯水槽の状況

サンプリングについての記載

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年4月25日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年4月25日分の変更箇所を中心にピックアップしました。
構成●井上良太