【防災対策】水道水の保存について

災害に備える上で、水の備蓄は欠かすことができないものです。私も、ミネラルウォーターのペットボトルを常備しています。また、そのほかにも、空いたペットボトルに水道水を入れて、手洗い用や非常食の即席めん調理用の水としています。

この水は、1、2ヶ月毎に交換するよう心掛けているのですが、先日、入れ替えている際に、ふと思いました。

「この水は、飲むことができるのだろうか?」

そこで、水道水の保存について、調べてみました。

水道水の保存期間について

水道水の保存期間について、上水道を管理している自治体のWEBサイトなどを見ると、常温では、3日間としているところが多いようです。

水道水を保存する際に、手や空気中に存在する雑菌が混入してしまい、長期間置いておくと、細菌が増殖してしまうからだそうです。

3日間程度は、消毒用の塩素の効果が持続するために、飲んでも平気とのことです。水道水の保存期間について、東京都水道局のWEBサイトには、下記のように書かれています。

◯ 直射日光を避けて涼しい場所に保管すれば3日程度、冷蔵庫に保管すれば
 10日程度、消毒用の塩素の効果は持続します(日付をメモして貼っておくと
  便利です。)。
◯ 保存期間が過ぎても、沸かして飲めば問題ありません。

引用元:水道水をくみ置く際の留意事項について ~第36報~|東京都水道局

それでは、3日を過ぎた水は、飲むことができないのでしょうか。

岐阜市の上下水道事業部が、水道水の汲み置き期間と細菌について、実際に調べています。調査方法は、「ペットボトルに水道水を詰めて、室内・室外・冷蔵庫の3箇所に段ボール箱に入れて保管し、約1ヶ月後の残留塩素量や細菌類の検査をして保存状況を調べる」というものです。下記、その結果です。

《検査結果》
3箇所とも1ヶ月程度は残留塩素濃度*1が0.1mg/ℓ以上ありました。
3箇所とも1ヶ月程度は細菌類は検出されませんでした。
 ※上記の保存調査は1月から2月に実施した結果です。
  夏の暑い時期や保存容器、保管場所によっては、もっと短い期間に
  なります。
 *1 残留塩素濃度とは
   水道水には細菌類の自然繁殖を防いだり死滅させるために、
   次亜塩素酸ナトリウムという薬品を添加しています。
   水道法では、この薬品の残留塩素濃度を0.1mg/ℓ以上確保するよう
   定めています。したがって、ペットボトルに保管された水道水の
   残留塩素濃度が0.1mg/ℓ以上確保されている期間が、
   保存期間となります。
   ちなみに、岐阜市の水道水の残留塩素濃度は約0.3mg/ℓです。

引用元:地震災害時の備えに飲料水を保存しましょう

同市上下水道事業部の結果を見る限り、3日が過ぎたからといって、飲料水として適さないかというと、必ずしもそうとは言えなさそうです。

私も、3日間以上放置していた水を、何度か飲んだことがありましたが、特に体に異常はありませんでした。

1年間の保存が可能?水道水の保存方法

「長期間、水道水を保存する方法はないのか?」

調べてみると、愛知県衛生研究所のWEBサイトに、「保存容器を殺菌消毒することにより、1年程度の保存が可能」との記載がありました。
WEBサイトによると、水を保存する容器は「しっかりキャップが出来る、頑丈なもの」を使用するそうで、これに最も適しているのが、災害用品専門店などで売っている、飲料水備蓄専用のタンクとのことです。ポリタンクや、空になったペットボトルには、細菌や、その栄養源となる糖分などが残っているという問題があるものの、次の方法で殺菌消毒すれば、水道水を1年程度、保存できるそうです。

用意するものは、液体状の消毒薬原液「次亜塩素酸ナトリウム」と食器用洗剤、5リットル程度のバケツ又は大きめの鍋、ビニールテープ、マジックペンなどです。まず、食器用洗剤で容器を洗浄し、水道水で十分にすすいでおきます。次に、同様に洗浄したバケツや鍋など清潔な入れ物に有効塩素濃度100ppmの消毒液を作ります。具体的な方法は、こちらの図(※下記リンク先のPDFです)に紹介しましたのでご覧下さい。
その消毒液を、すすぎの終わった容器に、1/4から半分程度入れキャップをしてよく振り混ぜ、1時間程放置します。その後、消毒液を捨て、水道水でよくすすいでから、容器に飲料水を入れて堅くキャップします。
さらに、キャップがゆるまないようにビニールテープを巻き、マジックペンで日付を書いておくとよいでしょう。

引用元:愛知県衛生研究所:巨大地震に備えて(その2)

(※上記の他、冷暗所で保管し、半年で水道水を交換することを推奨しています。)

水道水を保存する際の注意点

水道水を保存する際には、下記の点に注意するといいようです。

■保存する際の注意点
・空気に入っている雑菌を防ぐために、容器の口元までいっぱいに水をいれる。
・浄水器は、塩素を除去してしまうので使用しない。水道水を使用する。
・沸かしてしまうと、塩素が減ってしまうので、沸かさずに保存する。
・直射日光の当たらない、涼しい場所で保存する。

いざという時のために

水道水の保存は、一般的に3日までと言われていますので、半年や1年置いたものを飲用水とすることは、積極的におすすめすることはできません。

しかし、消毒した容器に、適切に水道水を保存しておけば、いざという時に役に立つかもしれませんので、試してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

参考WEBサイト

Text:sKenji