南海トラフ巨大地震への備え ~その1~

南海トラフ巨大地震が発生した場合、最悪のケースでは、死者約32万人以上、建物の全壊及び焼失は約238万棟以上、経済的損失は約220兆円と、東日本大震災の数倍大きな被害となる可能性も指摘されています。死者については、東日本大震災の約17倍に達する恐れもあるとのことです。

甚大な被害も予想される南海トラフ巨大地震ですが、国のワーキンググループの報告書によると、最大限の防災対策を行った場合には、32万3千人の死者を、6万1千人までに減らすことができる可能性が報告されています。

防災対策は、行政などによるハード面も重要ですが、それ以上に大切なのが「個人の備え」。防災対策として、食料の備蓄、緊急の持ち出し用品の準備や、避難場所の確認と同じくらい大切なことが、ハザードマップ(防災マップ)の確認ではないだろうかと個人的には思っています。

ハザードマップとは、災害が発生した際に、その影響範囲、被害の程度、さらに避難の道筋、避難場所等を表した地図や災害予測図のことで、国や各自治体により、想定される災害種類ごとに作成されています(※作っていない自治体もあります)。

今回、南海トラフ巨大地震について、国が策定した「南海トラフ巨大地震の津波高、浸水域、被害想定」や、各自治体が作っている「ハザードマップ」について、見ていきたいと思います。

その前に、南海トラフ巨大地震について

南海トラフ巨大地震とは「東海地震」、「東南海地震」、「南海地震」の3つの地震が連動して起こる巨大地震のことをいいます。

トラフとは、深さが6000mより浅い場所にある細長い海底盆地のことで、南海トラフは、静岡から九州近辺まで伸びているトラフのことを指しています。東日本大震災以降、確率としては低いながらも、この3つの震源域において、連動して地震が発生する可能性も指摘されており、その場合には、冒頭で述べた、東日本大震災以上の災害となることが懸念されています。

出典元:気象庁WEBサイト

南海トラフ巨大地震の津波高、浸水域、被害想定について

東日本大震災は、防災計画、考え方を大きく変えたと言われています。3年前の大震災を受けて、国は「南海トラフの巨大地震モデル検討会」と「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」を設置し「南海トラフ巨大地震の津波高、浸水域、被害想定」を新たに策定し、公表しています。

県や各自治体は、この報告書などを元に、それぞれのハザードマップを作成しているようです。

公表されているものを見る限り、報告書には、広域的な津波の規模や被害想定などが書かれています。南海トラフ地震の備えとしては、想定される津波の高さや到達時間などの詳細な情報が記載されている、各自治体のハザードマップがわかりやすく、実用的ではありますが、南海トラフ巨大地震の全体像を把握するには、最適な資料だと思います。

下記は、報告書の1つに記載されている、南海トラフ巨大地震の震度についての資料です。

南海トラフによる震度の最大の分布図:内閣府防災のページより

<南海トラフ巨大地震への備え ~その2~ へ続く>
※次回以降では、各自治体が公表してるハザードマップを見てみます。

参考WEBサイト

Text:sKenji