2014年2月23日 今日の東電プレスリリース

2月23日、日曜日に公表された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」をチェックします。

冒頭に記されたのは、今日もH6エリア汚染水漏えいの続報です。これまで計測されたところ最高で0.9Sv/hという、短時間で生命にかかわるほどの放射能が漏えいした事件ですので、しっかり取り組んでほしいところです。

冒頭特記事項:H6エリアでの汚染水漏えい

漏えい範囲の訂正を新規事項として記載。

漏えい範囲の確認結果については、既にお知らせしておりますが、淡水化装置エリア(蒸発濃縮装置用タンク設置エリア)の東側から南側にかけての側溝(長さ約55m×幅約30cm×深さ約30cm)にも漏えい水が溜まっていたことを確認しておりましたので、漏えい範囲を訂正させていただきます。

側溝は閉塞されており、他箇所への流出は確認されておりません。なお、当該箇所の漏えい水については、2月21日にバキューム車により回収しております。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月23日

2月20日の報道配布資料には、堰の外に流れ出た100m3の水が溜まった場所として、
・淡水化装置(蒸発濃縮)の装置エリア
・電気ケーブルが収納されているU字溝
・H6タンクエリア堰近傍
の3カ所と記されていました。わざわざ水が溜まる構造のU字溝を使っている理由が理解できませんでしたが、長さ55メートル、容量5m3弱の側溝が使われています。

一般的に、側溝やU字溝は工場で生産された長さ2メートル、あるいは1メートルのコンクリート製品を、地面を掘って作った溝の中に高さを揃えて設置し、溝と製品の間を土やコンクリートなどで埋め戻して設置します。製品と製品の隙間にはモルタルを詰めて止水しますが、完全に止水することはほぼ不可能です。施工の精度や環境条件によって漏えい量は変化しますが、側溝やU字溝は継ぎ目から必ず水漏れするものです。なぜなら側溝やU字溝は水を流すことが目的の施設で、水を溜めるために作られたものではないからです。

漏えいした汚染水が地中に浸透し地下水に合流することが懸念されるエリアに、止水能力に乏しい資材を使った構造物が設置されていることは、理解しがたいところです。

1号機~6号機

新規事項の記載なし。

◆1号機
・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆2号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・2号機タービン建屋→3号機タービン建屋へ高濃度滞留水を移送開始(平成26年2月22日午前10時37分~)

◆3号機
1号機と同じ4項目に加えて、
・3号機タービン建屋→集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ高濃度滞留水を移送中(平成26年1月24日午後2時37分~)

◆4号機
・原子炉内に燃料なし(使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プールから共用プールへ燃料移動中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中

◆5号機
・冷温停止中
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備の状況

新規事項なし。

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・淡水化装置は水バランスをみて断続運転中
・多核種除去設備(ALPS)ホット試験中

H4エリアタンクおよび周辺排水路の状況

引き続きタンクの監視と、タンク周辺のサンプリングを実施していると記載。新規事項はパトロール結果とサンプリング実績。

<最新のパトロール結果>
平成26年2月22日のパトロールにおいて新たな高線量当量率箇所(β+γ線(70μm線量当量率))は確認されていない(一部実施できない場所を除く)。また、堰床部に雨水が溜まった箇所については、雨水による遮へい効果により引き続き線量当量率は低い状態となっている。また、目視点検によりタンク全数に漏えい等がないこと(漏えい確認ができない堰内溜まり水内を除く)、汚染水タンク水位計による常時監視(警報監視)においても異常がないことを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月23日

※H4エリアIグループNo.5タンクからの漏えいを受け、福島第一南放水口付近、福島第一構内排水路、H4エリアタンク周辺および地下水バイパス揚水井No.5~12のサンプリングを継続実施中。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月23日

1~4号機タービン建屋東側の状況

原子力発電所で海に面したエリア。地下水のくみ上げとサンプリングによる監視が行われており、新規事項としては最新のサンプリングについて記載。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月23日

地下貯水槽の状況

止水の不備から貯水槽として利用できなくなった地下貯水槽。新規事項としては最新のサンプリング実績を記載。

<最新のサンプリング実績>
前回採取した測定結果と比較して大きな変動は確認されていない。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成26年2月23日

以上、「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」平成26年2月23日分の変更箇所についてピックアップしました。
構成●井上良太