日本三景のひとつである宮城県の松島湾に、まるで浮かでいるかのように建つ、五大堂。国の重要文化財にも指定されている、松島の代表的な見所です。
五大堂について
西暦807年、当時朝廷に敵対していた蝦夷討伐のために、東北へ遠征した坂上田村麻呂が、毘沙門堂を建立したのが、五大堂の起源とされています。
その後828年、瑞巌寺を開基した慈覚大師円仁が、「大聖不動明王」を中心に、「東方降三世」、「西方大威徳」、 「南方軍荼利」、「北方金剛夜叉」の五大明王像を安置したことから、五大堂と呼ばれるようになりました。
現在の建物は、 1604年、伊達政宗が、紀州(現在の和歌山県)から名工を呼び寄せて作らせたもので、桃山式建築の粋を集めたお堂です。
五大堂にある五大明王像は、33年に1度だけご開帳される秘仏となっており、次回の御開帳は2039年となっています。
五大堂の魅力
桃山建築の粋を集めた建築手法もさることながら、五大堂の魅力は、なんといってもそのロケーションにあるのではないでしょうか。
お堂は、松島の海岸から、飛び石のように小さな島が3つ連なった、一番奥の小島に建てられています。その光景は、まるで海に浮かんでいるかのようで、808島とも形容される名勝・松島に調和している建築物です。
お堂がある最奥の島までは、3つの橋が架かっており、歩いて渡ることができます。途中にある橋は、朱色の透かし橋となっており、橋げたの隙間からは海面を見ることができます。これは、五大堂へ行く際、足元を見て気を引き締めるために造られたそうです。
海にかかる小橋を3つ渡りきると、そこに五大堂があり、松島の島々を一望することができます。お堂は、湾を望むように建てられており、水平線まで、島が点々と連なる景色は、松島ならではの光景です。
コンパクトなエリアに見所が満載
五大堂付近には、東北の名刹・瑞巌寺や観瀾亭、松島湾遊覧船のほか、観光名所がいくつもあります。名所以外にも、お堂付近の海岸には、飲食店やお土産屋さんが、海に沿って並ぶように多くの軒を連ねており、コンパクトにまとまったエリアで、観光、買い物、食事を楽しむことができます。
特に松島は、カキの一大産地だけあって、カキ料理を取り扱っているお店が数多くあります。「松島かき」として有名な松島産のかきは、小つぶで身がしまっているのが特徴で、生で食べると艶のある乳白色のふっくらとした身を楽しむことができるそうです。
また、松島は、仙台が近いこともあり、仙台市内でも有名な牛タン専門店をはじめ、歯ごたえがしっかりとした、美味しい牛タンを食べることができます。
見所が多い場所ですので、観光に少し疲れたならば、カキを始めとした海の幸や、牛タンに舌鼓を打てば、きっと忘れがたい松島観光となるのではないでしょうか。松島湾を一望できるお店もあり、五大堂や海に浮かぶ島々を眺めがら食事をすることもできます。
五大堂情報
五大堂は、JR仙石線・松島海岸駅から歩いておよそ10分と、大変アクセスしやすい場所にあります。車で行かれる場合、付近に駐車場がいくつかありますが、有名な観光地のため、行楽時期には大変混むそうです。
■五大堂情報
【住所】宮城県松島町松島字町内111
【拝観時間】夕刻まで
※年中無休
【拝観料】無料
【アクセス】JR仙石線松島海岸駅から徒歩7分
五大堂
参考WEBサイト
Text & Photo:sKenji