津波被害のあった太平洋沿岸部の復興の遅れが目立ちます。復興事業の入札で業者が集まらないため、復興が進まないという自治体が多いようです。
震災復興特需で建設資材が不足していることもありますが、建設業界の人材が足りないことが主因です。除染作業は、建設業界が主力となって動いているため、除染作業は、さらに人手が足りません。
長い不景気で、建設業界は人員を大幅に削減してきたため、特需に対応できていません。新人が一人前になるのに数年はかかります。数年後にも、それだけの仕事があるのか、はっきりしなければ、今、社員を増やすことは困難です。
長い不景気で余っていた労働者が、除染特需で除染作業に吸収され、失業率が下がったのはいいことです。
ところが、除染とは知らされずに、汚染地域に派遣され、働かされる人が多いことがわかってきました。
仕事を選べない人が、応募して連れて行かれたのが、原発事故現場の除染で、給与は意外に高くても、被ばく限度を超えると、仕事ができなくなり、また失業してしまいます。(国から危険手当が、一人当たり1日につき1万円支給されますが、大半が雇用会社に取られ、労働者には、ほとんどいかないところが多いようです。)
放射線被ばくは、法律で厳しく制限されているため、原発事故現場は、同じ人が長期間作業することはできません。(1年で50ミリシーベルト以下、5年で100ミリシーベルト以下の規制があります。)
被ばくを少なくするために、放射線量率により、作業時間(1日に数十分から数時間の作業)が計画されていますが、一日で数ミリシーベルトの被ばくをする所では、1ヶ月たたずに、限度を超えてしまうため、新たな労働者が必要になります。
そこで企業は、労働者を入れ替えて作業しなければならず、日雇い労働者を当てにせざるを得ないのです。
一般作業者はそろっても、作業主任者は簡単にそろえられません。
原子炉に精通した技術者でさえ、被ばく限度を超えると作業ができなくなるため、技術者の確保、育成も不安の種です。
東京電力では、給与削減により、技術者の退職が相次ぎ、人材確保も緊急の課題です。
事故を起こした原発の廃炉に30年~40年かかるといわれており、その間に被ばくを抑えて、除染、廃炉作業に従事できる人材をどのように確保していくのか、難しい問題です。