コンフェデ杯の悪夢が蘇る2-4の惨敗
日本代表のイレブンが90分間どんな思いでピッチに立っていたのかは分かりません。結果的にコンフェデ杯3連敗の悪夢が蘇る2-4の惨敗でした。正直、立て直しを図ったはずのディフェンスラインがここまで崩壊するとは思いませんでした。ザックジャパンのどこに欠陥があったのでしょうか?
日本のシステムは4-2-3-1。GK川島。DFは左から酒井高徳、今野、吉田、内田。MFはボランチに遠藤と長谷部。3枚の攻撃的MFは左に香川、中央に本田、右に岡崎。1トップは柿谷。日本は前半から最終ラインを上げてボールポゼッションをリードし、立て続けにウルグアイのゴールに迫るも決定機を作り出せず、中盤でボールを取られると相手のカウンターアタックを受けて守備陣は脆くも崩壊します。
前半27分、DFからの一発のロングパスにスアレスが反応。吉田をドリブルで振り切って中央に折り返し、フォルランが無人のゴールに押し込んで先制ゴール。続く前半29分、ウルグアイはペナルティエリア左付近でFKを獲得。フォルランの右足から放たれたキックはGK川島の手をかすめてゴール右隅に吸い込まれて2点目。
日本は終始押し込みながらも0-2のリードを許して前半終了。後半7分、センターバック吉田のクリアミスをペナルティエリア内で拾ったスアレスが右足で蹴り込んで0-3。日本のゲームプランは崩壊しました。日本は後半9分に香川のゴール、後半27分に本田がFKをゴールに叩き込んで食らいつきますが時既に遅し。3連続失点が重くのしかかり、2-4の大量失点で惨敗を喫しました。
中盤が緩すぎる!遠藤、長谷部のボランチは限界か?
この試合、問題だったのは中盤のプレッシングとマークの甘さです。特に自陣のバイタルエリアはスペースが目立ち、そこを付け込まれてカウンターの標的にされました。ボランチの遠藤と長谷部は攻撃に入った後の戻りが遅く、スペースと人のマークも緩慢でした。
一発の縦パスでゴール前に抜け出したウルグアイのFWフォルラン、スアレスに前を向かれると、最終ラインの4人は1対1では対処できず、ドリブルで振り切られて簡単に崩されました。やはり、バイタルエリアでDFの前に壁となるMFが1枚か2枚必ず残らないと組織的な守備は機能しません。
遠藤と長谷部は2人同時に攻撃参加する場合が多く、簡単に裏を取られてDFに守備を依存するケースが目立ちます。この試合、遠藤が攻撃に参加することで中盤に攻撃のリズムが生まれました。遠藤を攻撃に専念させる為に、相棒は山口螢か高橋秀人など、アンカータイプのボランチを採用するべきでしょう。
W杯で勝ち点を得る為に守備の人数を増やすべきか?
コンフェデ杯は3試合で9失点、この試合を含めれば強豪国を相手に4試合で13失点を与えた日本。W杯を本気で勝ち上がるには守備陣の抜本的な改革が必要です。南アフリカW杯のように守備の人数を増やせばディフェンスは安定しますが、攻撃面で日本の良さはでないでしょう。
思い切って従来のシステムを捨て去り、FWを2人して前線から激しいチェイシングを仕掛け、MFに運動量の多いボランチ(山口螢や青山敏弘など)を採用し、前線と中盤から徹底的に相手を追い込むプレッシングサッカーに切り替えなければ守備の立て直しは望めないと思います。
プライドを捨てた本田のFKと香川のサイドアタック
守備陣の崩壊と比べると、攻撃面では収穫が見られました。左MFの香川は中央に向かってドリブルで切り崩す得意のプレースタイルを捨て去り、左サイドをドリブルで再三えぐってサイドアタックを仕掛けました。試合終盤は好クロスを連発し、中央の本田と豊田に合わせてあわやというシーンを作り出しました。
また、攻撃面で最も印象的だったのは後半27分の本田のFK。伝家の宝刀であるブレ球シュートを封印し、インフロントでカーブをかけてニアサイドを狙う技ありのFKを決めました。ファーポストを狙ってブレ球を蹴り続ければ、必然的にGKのニアサイドへの反応は遅れます。己のプライドを捨てて、駆け引きに徹した本田と香川のクレバーなプレーに世界トップ10と戦うヒントを見ました。