除染が進まない (1)

国の除染予算が消化しきれないというニュースが流れました。
原因は、仮置き場が決まらないため、除染作業が進まないというものです。
仮置き場は、除染作業で発生する放射性物質を含む廃棄物を、一時的に保管するための場所です。
なぜ仮置き場が決まらないのか、それは住民が反対するため決まらないのです。
除染作業で発生する廃棄物は、放射線が強いので、危険極まりないということでしょう。
放射性物質が多い部分を集めるわけですから、放射能濃度が高くなり、出てくる放射線も強くなるのは道理です。

しかし、放射線は、距離が離れると急激に弱くなるという性質があります。距離の2乗に反比例するため、数メートル離れれば、ほとんど影響がないレベルに下がります。
ですから、仮置き場は民家から少し離れていれば、十分に安全なのです。

1cmの距離で100μSv/hの強烈な廃棄物があっても、1m離れると0.01μSv/h、5m離れると0.0004μSv/hに下がります。自然界にある自然放射線より、とてつもなく低い、こんな放射線怖いですか?
水を通さないシートを下に敷き、上からかぶせて雨から守り、人が入らないように管理すれば、まったく心配は要りません。

仮置き場が決まらない一部の自治体では、各家庭の庭に穴を掘って埋めています。
土をかぶせると放射線は、さえぎられて弱くなるので、仮置き場が決まるまで、時間がかかりそうな地域では、現実的な対応といえます。
住民にとっても、除染が早く終われば安心して暮らすことができるので、一石二鳥です。

住民のみんなが仮置き場に反対しているわけではありません。うちの土地を使ってという奇特な人も多いのですが、周囲の人が猛反対してできないのが現状です。
周りに民家がなく、人が通らないような場所でも、自分の土地に近いというだけで、反対する人が多いのです。

仮置き場の設置は賛成でも、自分の近くでは反対、という自己中心的な人が多い現状は、嘆かわしいものです。国の対応が遅い、行政が悪いと文句を言うだけでなく、どうすればスムーズに行くか、助け合う、譲歩する気持ちがあれば、除染、復興はもっと順調に進むはずです。