暴走してキャバ嬢のカモになるホストの恋 【噂のホストNo.1】その20

ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。

キャッチのつもりが逆にキャバ嬢にハマっていた

『イナバ』という源氏名をもらってホストになってから2ヶ月。1人も指名客を取れずに駄目ヘルパーの名を欲しいままにしていた自分にも春が来ました。「キャバクラ嬢を口説いてみろ」という先輩のアドバイスが実り、超美女キャバ嬢をゲットして本指名を勝ち取りました。しかし、結果的には酒代を自分が払わされるはめになり、1晩で6万8千円の赤字を出してしまいました。

ここまでの赤字…

①女性とのトークを鍛えるためにガールズバーに通い詰める。。。マイナス20万円
②歌舞伎町のキャバ嬢との密約が破断して金を騙し取られる。。。マイナス8万4千円
③キャバ嬢をホストクラブに連れ込むも、酒代は自分で払う。。。マイナス6万8千円

少なく見積もっても40万円以上の赤字を出していました。ホストのバイト代が1日7000円。指名客を取れなかった自分はどんどん出勤日数を減らされて週3日勤務となり、月収は8万円にまで下がっていました。どう考えても生活できるレベルではなく、クレジットカードのリボ払いだけが増える日々…。

ここから逆転を狙うにはやはり…唯一本指名をゲットしたキャバ嬢のアイさん!彼女にターゲットを絞るしかありません。売れないホストの常套手段、メールで営業開始!『今度また遊ばない?』『あの店に飲みに行かない?』的なメールをバンバン送っても全然取り合ってくれません。

こうなったら自分で会いに行くしかないわ~~!と決意して再びアイさんの待つキャバクラに入店しました。

キャバ店のアイさんは聖母のように優しかった

キャバ店で会えるアイさんはメールとは別人のように優しい存在でした。売れないホストとして駄目男のレッテルを貼られている自分にも、「大丈夫、大丈夫!イナバさんなら絶対指名取れるから!」とか「私が居なくても1人前のホストになれると思うな~」とか、男としてやんわり拒否しながら甘い会話を楽しめます。

自分にとってアイさんは聖母マリアのような存在となり、もはや彼女なしではホストなんてやっていられない状態となり、週3ペースでキャバクラに通うようになり、ホストクラブに出勤するよりもキャバクラ通いがメインになっていきました。自分はホストなのかキャバ好きのオサーンなのか…?絶対に後者でした。

占い師と会うことを口実にしてデートに誘う

その頃、ホストとして路頭に迷っていた自分は、地元の駅前で知り合った占い師の先生に人生相談をしていました。その先生は前世を占ってくれる鑑定士として有名な人で、恋のキューピット役として助けてもらうには打ってつけの存在でした。彼女に先生を紹介できれば…2人を必ず運命の関係に導いてくれるはず…

僕「前世を教えてくれる占い師の先生を知ってるんだけど、行かない?」
アイ「え?そんな人がいるの?いくいく~」

アイさんは二つ返事で了承くれました。プライベートで会おうと誘っても絶対OKしてくれないのに…どんだけ自分に興味がなくて占い師に興味があるんだよ~~!と感じつつ、占いの先生を紹介することに成功しました。

占い師「アイさんの前世はね…ギリシャ神話に登場する美の神、アフロディーテだよ」
アイ「え…?私が美の神…?」

前世が美の神と聞いてまんざらでも無さそうな笑みを浮かべるアイさん。個人的にはピンとこなかったけど、相手が喜んでくれたら満足です。これはこの後の展開にも期待できそうな雰囲気に…。

占い師「ところで、イナバくんはアイさんを守れる自信はあるの?」
僕「え、、守れる…自信?」

占い師「アイさんと一緒になる気なら、相当のお金や財産が無いと難しいよ」
僕「お金…?」

ホストを始めてから借金40万…。
金と言う文字に完全に縁のなかった僕は言葉に詰まりました。

占い師「一生涯かけて、アイさんの美を守るにはそれなりにお金がかかるからね」
僕「はぁ……」

金、金、金、金、金

その文字が頭の中を駆け巡り、思考は完全にストップ。その後のことはあまり記憶にありません。。。帰りに居酒屋に寄って2人で食事をしたまでは覚えています。その後の会話は上の空で印象が無く、空返事を繰り返しては苦笑いをしていた気がします。

アイさんを指名客に仕立て上げるつもりが、逆にアイさんの指名客に成り下がり、さらにビジネスとは関係ない視点で恋に発展して自滅する…。恋も仕事も同時に敗れて地に落ちた夜でした。