2013年の8月7日
月遅れの七夕として、仙台など東北各地で七夕まつりが開催される。
◆陸前高田「うごく七夕」
飾り付けられた山車に笛太鼓が乗り込み町を練り歩く。
震災前、12基の山車があったが残ったのは3基のみ。それでも震災直後の2011年にも開催された。
かつては町中を山車が回ったが、この頃はまだ余震も多く危険なため小学校のグラウンドでの開催だった。
2012年には山車の数も増えてくる。気仙大工の技が傾注されて造られる山車は1基数百万とされるが、工面のつかない町内の中には、できる範囲で小ぶりな山車を自作して参加するところもあった。
2013年、今年はさらに数基の山車が新調された。
◆陸前高田「けんか七夕」
陸前高田の気仙町地区に900年伝わるというまつり。外見はうごく七夕とよく似た七夕飾りが施された山車2基が、互いの梶棒を山車に差し違えてぶつかり合う。もちろん山車には笛太鼓の人々が乗り込み、山車の上に登った衆が互いに笹竹を打ち合ってけんかする。
美しく、勇壮で、幽玄なおまつりだ。
※梶棒
ひと抱え以上もある巨大な太鼓を積み込んだ山車には、さらに笛太鼓のメンバーが多い時では20人以上も乗り込むという。大きく重たい山車がカーブでうまく曲がるため、山車を貫くように太い丸太が設置されている。これが梶棒。樹齢50年の杉材が使われるという。一気ににカーブを曲がるときには、梶棒に掴まっている人が飛ばされてしまうほどだという。
気仙町のけんか七夕では、この梶棒を互いの山車に差し合ってぶつかる。
※山車の飾り付け
月遅れの8月7日の日に行われる七夕まつりだが、1カ月半くらい前にはすでに「まつり」は始まっている。山車を彩る美しい七夕飾りの作成だ。飾りはもちろん町内ごとに趣向が凝らされたもの。色を染めてつくられるものも少なくない。かつては町のおばあちゃんたちを中心に、みんなでつくってきたというが、震災後は仮設住宅も遠く、県外などで避難生活する人も少なくない。足りない人手を補っているのが、ボランティアの皆さん。本業のボランティア(?)と掛け持ちで、1カ月以上前から仮設の集会場や、山車の倉庫などで飾り付け制作に勤しむ人たちの姿が見られた。たいせつに造られた飾り付けの大部分は紙だ。だから、天気には気をつかう。
※特別な日
進学や就職で町を離れた人たちが、「この日ばかりは」と帰省して、懐かしい顔が揃うのが陸前高田の七夕だ。震災の前からそうだった。今年も、この日に合わせてたくさんの人たちが戻ってくる。津波で命を失った人たちの魂もきっと。
◇2013年8月6日の岩手県沿岸南部の天気
天気予報は「曇り時々雨」。天気予報が見事にはずれることを祈る。
歴史の中の8月7日
◆1615年
江戸幕府が一国一城令を発布。
戦国時代に3,000あったとされる城塞が200以下に減少することに。城下町への人口集中の一因ともされる。
加賀の前田、鳥取の池田など幕府から許されての特例(前田は金沢城より大きな小松城も許され、鳥取は3つの城を有していた)のほか、仙台の伊達のように実質的な城塞を20以上も維持していたところもあった。
◆1821年
伊能忠敬による「大日本沿海輿地全図」が江戸幕府に献上される。伊能忠敬は武士ではなく商人、しかも隠居後に勉強を始めたという人物。寛政12年から文化13年の足かけ17年に及ぶ大事業だった。
◆1942年
太平洋戦争でガダルカナル島に米軍が上陸する。6月のミッドウェー海戦で主力空母4隻などを失った日本海軍は、1,000km離れたラバウルから連日ガダルカナル島空襲を行うが、その間に多くの熟練パイロット・搭乗員を失う。米軍の反転攻勢の始まりであると同時に、日本軍の戦力損耗の始まりともなった戦いだった。
◆1947年
コンチキ号が太平洋漂流実験で、南米と南太平洋のつながりを実証する。
ポリネシア文明の起源については謎が多かったが、インカ文明との共通点が少なくないと指摘されてきた。ノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダールらは、インカに残された資料から大型の帆付き筏を再現し、風と海流の力だけで南米から南太平洋の島々まで漂着できることを証明した。
◆1977年
北海道の有珠山が噴火。降り積もった火山灰が降雨によって泥流となり、死者2名、行方不明者1名の人的被害が発生する。
◆2002年
多摩川でアゴヒゲアザラシが発見される。多摩川で見つかったことから「タマちゃん」と名付けられ、その後連日テレビのワイドショーンなどで取り上げられる。
生まれた人
・エミール・ノルデ ドイツの画家(1867年)
・マタ・ハリ オランダ生まれのダンサーでスパイ(1876年)
マレー系オランダ人のダンサーとしてパリを中心に活動。
ハニートラップの女スパイとして第一次世界大戦中に処刑された。
・司馬遼太郎 日本の小説家(1923年)
・藤田元司 日本のプロ野球選手・監督(1931年)
・内田春菊 漫画家、小説家(1959年)
忌日
・支倉常長 仙台藩士(1571~1622)
サン・ファン号で太平洋を渡り、さらにローマまで赴く
・ラビンドラナート・タゴール インドの詩人(1861~1941)
・内田吐夢 映画監督(1898~1970)
・ジョー山中 歌手(1946~2011年)