息子へ。被災地からの手紙(2013年6月6日)

2013年6月6日 静岡県三島市

テラセ、テラセ
サンリクテラセ。。


福島で〈暗闇の思想〉を知り、帰って来てからもくらくらするような状態が続いていた6月6日、Facebookの画面から飛び込んできたのがこの言葉だった。

文章の主の名は新沼暁之さん。直接会ったことはない、ともだちのともだちだ。
飲食店を開店した直後にあの大震災にあって、その後は海辺の町や集落に明かりを灯し続けている。出身は大船渡だが、活動エリアは被災地500キロ。石巻に行った話も聞いた。大川小学校の太陽光パネルをつけたのも新沼さんだという。

父さんは新沼さんのブログが大好きだ。読んでいて泣きたくなることや、怒りに震えることもある。感情が直につながったような気になることもよくある。

「テラセ、テラセ」もそんな言葉だった。

真っ暗な中
沈下した歩道を
携帯電話を逆さにして
水溜りを避けて帰路につく
女子高生を観た。。
.
.
同じ女子高生なのに
被災地の学生の
携帯の使い方に
ショックを受けた。

引用元:新沼暁之さんのFacebookより

新沼さんは沈下がいちばん酷い場所に灯りをつけた。
しかし、2つ設置した灯りのうち、ひとつは誰かに持ち去られ、
もうひとつはボロボロに壊れていた。
灯りをつけた1年後、そのトンネルはまた暗闇に戻っていた。

そんな暗闇に、最強に補強したソーラー街灯を設置したというのが記事の内容だった。

さぁ
今夜からまた
トンネルに灯りがつくぞ。
.
.
テラセ、テラセ
サンリクテラセ。。

ミンナアリガト。

引用元:新沼暁之さんのFacebookより

新沼さんは「被災地は復興のスタートラインにも立っていない!」という。それを伝えるために、Facebookやブログに記事を書き続けている。Facebookの「いいね!」と友達申請の数に応じて、毎日貯金をするなんてことも始めた。

誰のお金を貯金するかって? もちろん彼自身のお金をさ。

新沼さんの言葉は検索すればたくさんたくさん、あふれるように出てくる。Facebookの記事だって出てくるものが結構あるから、お前たち未成年者でもきっと出会える。

暗闇を受け入れる文化を示そうとした松下竜一さん。

暗闇を照らすためにソーラー街灯設置に執念を燃やす新沼暁之さん。

ふたりとも侍だ。