ガレキと呼ばないで(誰かが落とし穴に落ちないように)

シロツメクサがいっぱい咲いている陸前高田の町なかで、不思議なもの見つけた。
これなーんだ?

2013年6月4日、陸前高田市の荒町付近の歩道にて

たぶん一升瓶のケースの壊れたものなんだけど、どうしてこんなところに入っちゃったのか。それが問題なんだ。

下の写真のように見れば、分かりやすいかな。

そう。歩道に開いた穴に、誰かが落っこちたりしないように、黄色く目立つプラスチックケースが入れられているんだ。

被災地にはほとんど街灯がないから、夜道は真っ暗だ。穴が開いているのを知らずに歩いていたら、危ないよね。

昼間だって、考え事をしていたり、友だちとお喋りしながら歩いていたら、穴に落ちてしまうかもしれない。

すぐ近くには、こんなのもあったよ。

消火器が2本。赤くて目立つし、もしもうっかり足を踏み外しても、歩道の高さとあまり違わないから、ちょっとびっくりするだけで、こけずに済むかもね。

2013年4月17日

こちらは陸前高田の東浜街道沿い。米沢商会さんのビルの前の交差点。

排水溝の蓋が外れたところに、「徐行」の立て看板が突っ込まれている。

2012年10月24日

陸前高田ばかりじゃなくて、津波の被害が大きかった町のいろいろな場所で、同じようなものを見つけることができるよ。

南三陸町の防災庁舎の近くにはカラーコーン。逆さまだから風が吹いても動かないし、だれが見ても「あれっ」って注意をひいてくれる。

2012年11月18日

こちらは石巻市の雄勝町。

硯加工のお店が立ち並んでいた町の中心部に、ビールのケースがふたつ。

風が強いところだから、ケースの上に石が置かれている。

でも、だれがこんなことをしたんだろう。

おまわりさん? 役場の人? 工事現場の人?

だれがやったのかは分からないけれど、
「仕事として」のことではないような気がしない?

震災の後、側溝やマンホール、ハンドホールの蓋が外れたままになっているところがたくさんあった。穴ぼこだらけで、とても危なかった。車が脱輪したり、足を踏み外して怪我する人がたくさんいた。

このままじゃ危険だ!って思った誰かが、その辺にあったもの(たぶん多くはガレキと呼ばれるようなもの)を利用して、みんなが怪我をしたり困ったりすることがないように、工夫してくれたのだと思う。

お酒のケースの壊れたのも、流されてきた消火器も、第二の人生を生きる場所を授かったのだと思う。

本当なら、もっとちゃんと修理するとか、しっかりしたバリケードや看板でガードするとか、本式の対応が必要なのかもしれないけれど、
この手の応急処置を見つけるたびに、少しほっとする。
誰かに「いいね!」と伝えたくなる。