息子へ。被災地からの手紙(2013年4月13日)

2013年4月13日 宮城県石巻市・女川町

高速道路を下りた9人乗りの大型タクシーが、石巻市の海岸近くの大街道という町に入ると、車中の会話が途絶えた。それまではプロ野球の話で盛り上がっていたのに、急に車内がシーンとした。窓の外には建物が撤去された後の空き地が広がっていた。

13日と14日の土日を利用して、会社の人たちと女川ツアーに出かけた。
ほとんどの人は今回が初めての被災地。大街道から石巻日日新聞の前を通って日和山へ。さらに門脇小学校、がんばろう!石巻の看板へ。

車を降りると周囲には何も残っていない。荒涼とした空き地が広がる中、看板が強い風に耐えて立っている。カメラやビデオカメラを構えて、360度の光景を記録しようとしている人がいる。到達した津波の高さを表示をただ見上げている人がいる。献花台で手を合わせている人がいる。話しかけると、目の周りが濡れている人もいる。

ことばにできないという感情を、きっと感じていたんだろうと思う。
写真とか映像では伝わってこない被災した土地の空気の感覚を、きっと感じとってていたんだと思う。

石巻から女川に向かい仮設団地の石田さんと会った。
仮設住宅の部屋の中に入れてもらってね。
大人が8人も押しかけたんだから、たいへんだったと思うのだけれど、
石田さんはいつも通りいろいろな話をしてくれた。
震災当時のこと、避難所でのこと、仮設団地の生活のこと。
何に困っているのか。
何が必要なのか。
遠い未来の復興までの期間を、どうやって乗り越えていくか。
いつもみたいに人生についての教訓も時折とりまぜてね。

人柄もふくめて、石田さんの思いを受け止めてもらえたと思う。

よかったと思った。

次からはもう、みんな直接つながっていけるだろう。石田さんという「ひとり」とつながれたことで、つながりがきっと広がっていくだろう。

震災から2年。
被災地の「ともだち作戦」。
これから初めて被災地と出会う人たちがどんどん増えていきますように。