【サッカー日本代表】 日本VSヨルダン・・・屈辱の1-2!ザック采配に惨敗の要因あり 《W杯アジア最終予選》

 3月26日、ヨルダンの首都アンマンでW杯アジア最終予選が行われました。この試合に勝つか引き分けで日本のワールドカップ出場が決定する大一番。日本のシステムは4-2-3-1。GKは川島。DFは左から酒井高徳、今野、吉田、内田。MFは守備的な位置に長谷部と遠藤。3枚の攻撃MFは左に清武、中央に香川、右に岡崎。1トップに前田という布陣で挑みました。

攻勢をかけた前半30分までに得点を奪えず失速

ゲーム開始30分までは完全に日本のペースでした。超アウェーにも関わらず、DF今野泰幸は限界までディフェンスラインを押し上げてゾーンをコンパクトに保ち、左サイドの清武、遠藤、酒井を中心にサイドアタックを仕掛け、香川と前田がペナルティエリアに飛び出してゴールを狙う形は悪くありませんでした。

前田遼一の決定的なヘッドがゴールを割っていれば、日本は余裕を持ってゲームを進めていたかもしれません。前半30分までビッグチャンスを連発した日本は、徐々に運動量が落ちて攻撃のペースが失速。注意していた相手のセットプレーでは前半ロスタイムに最悪の形でヨルダンにヘッドを決められて先制点を奪われます。

中盤が機能せず、縦に急ぎ過ぎてカウンターの標的に

後半、日本は選手間の距離が開いて人とボールを速く動かすパスサッカーが機能しませんでした。縦に急ぎ過ぎてボールが中央に偏ってしまい、サイドから揺さぶって相手DFのマークを外す動きが見られませんでした。香川はトップ下にポジションを固定してしまい、中央から強引にドリブルを仕掛けてはDFに潰されました。

ボランチの長谷部が何度もペナルティエリア内にオーバーラップをしかけますが、1ボランチとなった遠藤の背後には広大なスペースが生まれ、カウンター攻撃を受けるきっかけを与えました。後半15分、カウンターアタックからFWハイルに40mのドリブル突破を許して2点目を奪われたのは必然的でした。

ハーフナー投入後は香川がFWに近い位置にポジションを上げてゴールに迫り、清武の絶妙ループパスに反応した香川がボレーを決めて1点を返すも決定機はこれだけ。中盤でタメを作れない日本はサイドアタッカーが前方に上がる時間を作れず、長身のハーフナーを効果的に使うクロスボールもありませんでした。

1-2の惨敗!ザッケローニの采配は後手に回る

1-2の惨敗でW杯出場を持ち越した日本。ザッケローニ監督の采配にも敗因はありました。カナダ戦の後半から投入され、中盤でパスを散らしてリズムを作った中村憲剛をトップ下で起用しなかったことに疑問を感じます。中央でタメを作り、サイドアタッカーがバイタルに飛び込んで組織的な攻撃の連動を作り出すのが日本の形です。

トップ下の香川は中央でボールが収まらず、2~3人目が動き出す時間が作れませんでした。清武に代えて乾を投入したことでサイドアタッカーが中央に3人並んで孤立し、互いを生かす動き出しがありませんでした。本田圭佑や中村憲剛など、中央でボールを収めるパサーの不在が攻撃の停滞を招いた原因でした。

日本代表メンバー採点(10点満点、平均は6点)

≪スターティングメンバー≫

FW
5.5【前田遼一】
中央にポジションをこだわらず、左右に流れて前線の起点となる。ニアサイドに飛び込む動き出しにゴールの匂いを感じた。2回の決定的なヘディングシュートを決め切れず、この日は決定力を欠いた。

MF
6.0【清武弘嗣】
左サイドから遠藤と酒井でトライアングルを形成し、優れたコンビネーションでゴールに迫った。決定機にシュートを打たない弱気な姿勢が目立った。香川のゴールをアシストしたループパスは見事。

5.5【香川真司】
中央からゴールに迫るも、周囲を生かせずコンビネーションに課題を残した。ペナルティエリアからドリブルで勝負するもDFに抑えられた。ハーフナー投入後はFWに近い位置まで上がり、DFの裏を突く飛び出しででゴールを脅かした。後半24分、清武のラストパスをボレーで叩き込こんで唯一のゴールを決めた。

4.5【岡崎慎司】
豊富な運動量で鋭い飛び出しを見せるが、ペナルティエリア内でヨルダンのDFにことごとくパスを跳ね返されてシュートを打てなかった。終盤にゴール前のスペースを消されると、動きを封じ込まれた。

5.0【遠藤保仁】
中盤の底でヨルダンのアタッカーをケアしつつ両サイドにパスを散らした。0-1から日本が前がかりになると、守備に追われてバイタルエリアを1人でカバーできなかった。

5.5【長谷部誠】
先制点を奪われた後、果敢なオーバーラップでペナルティエリアに侵入し、何本もミドルシュートを放ったが、前に出すぎて中盤のバランスを壊した。遠藤の1ボランチとなり、相手のカウンター攻撃のきっかけを与えた。

DF
5.5【酒井高徳】
ゲーム序盤は清武と遠藤のトライアングルで左サイドをえぐったが、後半は中央にボールが寄ってしまいサイドを突破をする機会を失った。カウンターから裏を取られ、ハイルに得点を許すなど守備に課題を残した。

6.0【内田篤人】
前半はヨルダンのFWにスピードで振り切られる場面が目立ったが次第に落ち着いた。後半26分、右サイドを突破してPKを獲得するなど鋭い飛び出しでチャンスを作った。攻守に安定した働きを見せた。

5.5【今野泰幸】
前半はディフェンスラインを限界まで押し上げて攻撃的なスリーラインを築いた。しかし、守備では空中戦の弱さをヨルダンに突かれ、セットプレーからロングボールで競り負ける場面が目立った。

5.0【吉田麻也】
サイドに誘き出されてもポジションを修正して中央でボールを跳ね返した。日本が前がかりになるとカウンターの標的になった。スピード不足を露呈してFWハイルにドリブルで振り切られて失点を許した。守備の連係でミスも目立った。


≪サブメンバー≫

5.0【ハーフナー・マイク】
リードされた後半に切り札として登場。パワープレーではヨルダンのDFに競り勝ってセカンドボールからチャンスを作る。終盤はサイドからクロスを貰う場面が少なく、ターゲットとして持ち味を発揮しきれなかった。

4.5【乾貴士】
終了間際に左サイドハーフで出場。中央に偏ったポジショニングでDFの厳しいマークをまともに受け、サイドからドリブルで崩す本来のプレーが見られず前線で孤立した。

6.0【駒野友一】
酒井高徳に代わり左サイドバックで出場。積極的なオーバーラップからハーフナーに高精度のクロスを上げて好機を作った。限られた時間で与えられた役割を的確にこなした。