ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。
客が来ない日は遊んじゃうホストクラブ
ホストクラブのイメージは、体育会系の気合の入ったイケメンホストが女性客を次から次へと手玉にとると思われるでしょう。でも、僕が勤務していた店の2部営業(日の出~正午まで)という時間帯は客の出入りが少なく、午前9時頃までは閑古鳥が鳴いています。客を呼ぶためにホストがする仕事と言えば、ひたすら携帯電話と向き合って女性に営業メールを打つ訳です。
それでも客が来ないとき、ホストのテンションはだだ下がりです。「俺達は何のために生きているのか?社会から弾かれた存在なのか?」自己嫌悪に陥ります。そうなると、酒を飲んだり、カラオケを歌って無理矢理テンションを上げます。余りにも客が来ないと携帯ゲームで麻雀対戦を始めるホストまで出現します。
まるでシェアハウスのようなホストクラブ
「いらっしゃいませ~!」店の扉が開き、女性客が入ってくるとホストのテンションは上がります!ようやく仕事が始まり、急いでおしぼりと氷を持ってテーブルをセッティングします。「割り物はどうしましょうか?」オーダーを受けようとしたとき、女性客はソファーに横たわって毛布をかけ、既に就寝していました。「ここはホテルか?」とツッコミを入れたくなりました。
日の出営業から来るお客様はキャバクラ嬢や風俗嬢など、夜の仕事をしている人が多いので、ホストクラブに入った時点で疲労困憊しています。仮に5人客がいたら2人はソファーで寝てましたね。ホストとホステスが集まるシェアハウスのような感覚が楽しいです。
衛生上、問題のあるホストクラブ
ホストクラブは女性に接客サービスをする場所なので、店内が清潔で綺麗なことは鉄則です。しかし、僕がいた店は衛生上に問題のある環境でした。カウンター裏のキッチンは常にゴキブリが這い回り、お酒を作るには問題あり過ぎです。接客中もソファーに小さなチャバネゴキブリが出没することもありました。
個人的に怖かったのは、ガラスの破片がソファーに落ちていることです。おそらく、ホストが酔っぱらってテーブルでグラスを割り、その破片がソファーに飛び散ったのでしょう。それを知らずにソファーに座ったときは、手や尻にグラスの破片が突き刺さって何度も血を見ました。薄暗い店内に見えない凶器があるのは怖すぎます。
水割り用のミネラルウォーターは水道水
鏡月やJINROなど、焼酎の水割りに使うお水は『○○の天然水』と書かれたミネラルウォーターを使用します。一見すると、ペットボトルは新品同様です。しかし、その中身はゴキブリの徘徊する汚いキッチンの蛇口から排出された都内の水道水でした・・・。一応、浄水器が備え付けられていたものの、蛇口に付けるタイプの安物なので、どこまで効果があるのかは疑問です。
アットホームな2部営業はみんな仲良し!
店が汚くてもミネラルウォーターが水道水でも、お客さんとホストはみんな仲良し!それが2部営業の売りでした。高級なホストクラブにありがちな独特の緊張感は皆無です。ホストの服装もフランクで、Tシャツにジャケットを羽織ったラフな格好でも許されます。酔ったホストが床に吐いてしまっても、優しい女性客は掃除を手伝ってくれて、ホストを介抱してくれます。
閉店後はホスト同士で飯を食いに行ったり、パチンコに行ったり、エロ本を買いに行ったりプライベートでも仲良しです!そんなアットホームな職場だから、みんな仲良く働いてるけど売上はさっぱり上がらない!女性を喜ばせて大金を稼ぐプロ集団としては明らかに問題のあるホストです。でも、僕はそんな先輩ホストと優しいお客さんが大好きでした!!