ホストクラブとは男性従業員が女性客の隣に座って接待をする飲食店。主役はあくまでもお客様である女性です。ホストは女性を良い気分にさせて喜ばせるのがお仕事です。「イケメン!色恋トーク!枕営業!自分の持つ武器を駆使して女性を満足させてみろ!」という成果主義の特殊な世界。そんなファンタジーワールドに迷い込んだ僕のホスト体験記を告白します。
出会い喫茶は夢の箱
ホストは店に客を連れてきてナンボの世界。一生ヘルプならいつかはクビになってしまいます。多少強引でも女性の人脈を作って指名客をゲットしたい!そこで思いついたのが出会い喫茶というお店です。出会い喫茶とはテレクラのリアルバージョンみたいな場所です。男性席と女性席がマジックミラーで仕切られており、男性客は気に入った女性客をトークルームに誘ってデートの交渉ができます。
お店に3000円の料金を支払うことで当日限定の会員券を発行してもらい、新宿、渋谷、池袋に点在する姉妹店への出入りは自由。トークルームでのデートの交渉は何度でも無料です。トークの練習ができて、上手くいけばキャッチもできる!出会い喫茶は、新米ホストの自分にとって夢の箱に見えました。
ビビりながらも出会い喫茶に入店する
1人だと怖いので友人と2人で出会い喫茶に入ることにしました。女性客と男性客のフロアは完全に隔離されています。男性客のフロアはマジックミラーで取り囲まれており、ミラーの先の向こうにいる女性客のフロアを覗き見るような構造になっています。女性客は番号札のついたプレートの前に座って、雑誌を読んだり携帯を触ったりお茶を飲んでいます。
客層も千差万別で、見るからにオタクの女の子、40代くらいの主婦の人、メイクが濃すぎて素顔の想像がつかない人など、街で歩いていても声をかけられなそうな人達が多いです。その中で、大学生くらいの真面目そうな女の子がいたので、友人にデートの交渉を勧めてみました。
僕 「あの子、だったらいいんじゃない?」友人「うーん、でもさ・・・大丈夫かなー」
僕 「とりあえず、試しに話してみればいいじゃん」友人「まあ、そうだね。話してみるよ」
友人はトークルームに消えていきました。しばらくして、僕の携帯に友人から着信が入りました。
友人「あのさ、あの女の子とご飯食べることになったんだけど」
僕 「へえ、すごいじゃん!そのまま夜まで誘っちゃえば?」友人「いや、1人だと人見知りするんだよ。一緒について来てくれない?」
僕 「え、2人きりのがいいでしょ?」友人「頼むから来てよ。2人だと緊張するからさ」
僕 「そうかぁ、わかった」
イタリアンレストランで食事する
僕と友人と出会い喫茶で知り合った女の子と3人で、イタリアンレストランで食事をすることになりました。男2人と女1人のデートなんて変な感じです。女の子はユカさんという名の大学生で、現在彼氏と同棲中。小遣い稼ぎのために出会い喫茶を利用しているそうです。
僕 「同棲してるのに、出会い喫茶とか行ってて大丈夫?」
ユカ 「彼氏とはほとんど会ってないからね。生活のサイクルが違うから平気だよ」友人 「俺なら耐えられないな。彼女が出会い喫茶行ってるなんてさ」
ユカ 「まあ、うちらの関係は冷めてるしね。バレても問題ないよ」友人 「はぁ・・・今、好きな子がいるんだけど、その子が出会い喫茶に行ってたら嫌だな」
ユカ 「へえ、好き子ってどんな人?」
いつの間にか友人の恋愛相談が始まり、気がつけば小一時間も恋愛話に花を咲かせました。ユカさんは友人の恋愛相談を熱心に聞き入り、的確なアドバイスをおくります。まるでカウンセラーのように親身に受け答えするユカさんに感心しました。食事も終わって店先で解散しようとすると、突然ユカさんに呼び止められました。
ユカ 「あの・・・お金・・・」友人 「お金ならいいよ、飯代はこっちで持つから」
ユカ 「そうじゃなくて、ご飯とは別に付き添い料が欲しいの・・・」友人 「えー、ご飯おごるだけじゃダメなの?」
ユカ 「うん、別にデート代を貰うのが普通だよ」僕 「いくら?」
ユカ 「5000円が相場かな」僕 「たかーい!3000円に負けられない?」
ユカ 「じゃ、3000円でも・・・」
ユカさんはどす黒い表情を浮かべながら、渋々値下げ交渉に応じてくれました。出会い喫茶って食事代やカラオケ代の他に、デート代として謝礼を支払うルールなんですね!よく考えてみたら女性客は金目当てで出会い喫茶を利用する訳で、デート代が貰えなければ意味ないのです。
結論・・・出会い喫茶でキャッチするには金がかかる。大金払ってキャッチするなど本末転倒だ!!