3人の料理人を雇うラブホテル 【素敵なラブホ事情17】

 数年前、僕はラブホテルと呼ばれるレジャー施設で清掃のバイトをしていました。ラブホの職場環境は「面白いと思えば面白い、特殊と思えば特殊、普通と思えば普通」という何とも不思議な感覚があります。このシリーズ?では謎の多いラブホテルの舞台裏に少しずつ迫っていきたいと思います(脇汗)。

レストランのようなラブホテル

大抵のラブホテルのフードメニューはカップラーメンやジュースが自販機に入ってて、宅配ピザを電話で注文する程度だと思います。僕がいたラブホテルは専属の調理師を3人も雇っており、まるでレストランのようにメニューが豊富なことを売りにしていました。

和・洋・中の全てのジャンルをカバーしているだけでなく、デザートにアイスやケーキ、フルーツパフェも自前で用意していました。お子様ランチから松坂牛の高級ステーキまで出てくるラブホテルは全国的に見ても珍しい気がします。季節に合わせたサービスメニューも提供されていて、夏はそうめん、秋は月見うどん、クリスマスはいちごケーキ、大みそかは年越しそばなど、無料で楽しめるサービス料理までありました。

最年長者のOさんは職人気質

3人の調理師のなかで最年長者のOさん(50代男性)は職人気質の短気な人でした。「キッチンは聖域だ!男の職場だぜ!」という感じで、料理を作れば作るほどテンションが高くなり、喧嘩っ早くなる人でした。昼食のとき、炊飯器のご飯をよそうのが遅いと「もたもたするなー!」と怒るのでビックリします。

仕事が終わると人が変わったように表情がやわらぎ、いつもニコニコして冗談を言う気さくな人です。「これ、古着なんだけどよかったらあげるよ」と服を沢山くれるので、僕はとても助かりました。引越しのバイトをするとバイトの人は社員の人に厳しく怒られますが、仕事が終わると「アイスでも食べるかー?」と言って急に優しくなる感じに似てます。分かりにくい例えかもしれませんね?

清掃員にセクハラをするHさん

40代男性のHさんは面白い料理人でした。何が面白いのかというと清掃員の人妻にセクハラをするからです。Hさんはゴミを出すためにリネン室に顔を出します。好みの人妻がタオルを折っていたりすると、後ろからそっと近づき「○○ちゃん、元気~?」と耳元で囁きながら背後に密着します。ターゲットになった人妻は「エロい~~!」と叫びながら嫌悪感を丸出しにします。女性の背後に密着したHさんは腰に手を回したり、股間を女性の尻に密着させたりします。

客観的にみたら違法性の高いセクハラなので、やられた女性は最悪だと思います。まさしく女の敵ですね!その一方で従業員の喧嘩の仲裁に入るなど、頼もしい一面もある人でした。男性陣には優しくて頼りがいのあるHさんも、女性陣にはセクハラ大王として忌み嫌われる存在です。個人的には楽しい人だったけど、尻や腰を触られた人妻は堪らなかったんだろうな・・・

武闘派のDさんは元気者

3人のなかで1番若いDさん(20代男性)は、中華料理屋出身の調理師でした。作る料理は油っこくて味が濃く、どんな料理も中華のような味がしてしまう・・・というのは大げさだけど、基本的には中華風味の漂う料理を作る人です。積極的に新メニューの開発にも取り組んでいた人で、職場の飯を食べ過ぎて、入社から3カ月で体重が70kgから95kgに増加していました。自称、極真空手の達人で100人組手を超える1000人組手を経験したと豪語していました。

見た目は温厚でも武闘派のDさんは、夜中の街でサバイバルナイフをブラブラ持ち歩いていた少年を、警察も呼ばずに取り押さえた逸話を持つそうです。愛車のベンツを田んぼに突っ込んでオシャカにさせてしまったり、真冬でもバイクに乗って山奥のホテルまで通勤したり、何をやらさせても豪快な人でした。