数年前、僕はラブホテルと呼ばれるレジャー施設で清掃のバイトをしていました。ラブホの職場環境は「面白いと思えば面白い、特殊と思えば特殊、普通と思えば普通」という何とも不思議な感覚があります。このシリーズ?では謎の多いラブホテルの舞台裏に少しずつ迫っていきたいと思います(脇汗)。
プロの調理師が作ってくれる、まかない料理
僕がバイトしていたラブホテルは、6時間働くと食事が支給されるまかない付きの環境でした。ラーメンや牛丼、カレーなど簡素な物が中心ですが、ときにはステーキやうな重を食べられることもあります。賞味期限の切れそうな高級食材は、在庫処分のためにまかないに回されていました。厨房にはお客さんの料理を作るホテル専属の調理師さんが3人いて、レストランにも負けない美味しいまなかいを食べることができました。
腹が減っては戦はできぬ?
とはいえ、忙しい時間帯は食事を取れないときもあります。特に週末の夜はお客さんの出入りが激しく、8時間労働していてもご飯を食べる休憩時間がありません。清掃員も8時間ぶっ続けで動けばさすがにお腹が空いてきます。空腹が続くと集中力が低下して掃除のスピードが落ちることもありました。
スタッフは体内のエネルギーを確保するために、軽食を持参する人もいました。真冬の寒い時期はコンソメスープや、ポタージュスープを飲んで体を温めます。最初は100円ショップで売っている簡単な粉末スープで飢えをしのいでいた人も、だんだん行動がエスカレートして最後はカップメンを作るようになり、リネン室でラーメンすする異様な光景が見られました。
お客さん用のおやつを盗む
ホテルの客室には300円程度のお菓子を出すサービスがあります。かっぱえびせんやキャベツ太郎のようなスナック菓子を中心に、チュッパチャップスやグミなどのキャンディー類、よっちゃんイカや柿の種のようなつまみ系、それにバナナも2本ついてそれなりに豪華です。
お菓子は従業員用の通路にある透明のカラーボックスに保管されていました。業務用のビニール袋を開けられたお菓子を見つけたらチャンスです!食べ物を持参しないスタッフは、お腹が空くとカラーボックスからお菓子を取り出して飢えをしのぎます。僕はよっちゃんイカがお気に入りで、たまに盗んで裏でコソコソ食べました。
黒く変色し始めたバナナは捨てるのが勿体ないので必ず食べて処分します。「バナナばっかり食ってんじゃねーよ(笑)!」とよくツッコまれていました。一番凄いのがY主任で、カラーボックスからかっぱえびせんを取り出すと、その場で堂々と袋を開けてバリバリ食べます。従業員にとって客室用のお菓子は労働者を支える重要な食料だったのです。
最終的には客が残した料理を食べる
一番美味しいのが客が残した料理をつまみ食いすることです。お客さんが注文した料理には、ほとんど手をつけていない物も結構あります。唐揚げやウインナー、フライドポテトなどのファストフード系にその傾向が強く、1個つまんで帰ってしまう人が多いのです。そんなときは清掃中でも手を止めて、スタッフで仲良く分け合って完食します。
仕事中に食べる飯は超絶美味い!ハマると病みつきになります。ワイルドな男性スタッフは、マグロの刺身の食べかけを醤油も付けずに胃袋に流し込む強者もいました。「サバイバルじゃねーんだから(笑)!」とツッコミを入れておきました。