復興・再生・新生「2013年のことば」高木優美さん

ボランティア的な活動をしている期間が長く続いて、自分のことがおろそかになっていました。2012年には神職として神社に就職し、元々の自分の仕事に戻りました。

生かされているだけではなく、生きなきゃいけない。

これまでの活動の中で、人生の大先輩と言える多くの方々と接し、多くのことを学ばせてもらいました。同時に自分が至らなかったところ、迷惑をかけたことも含めて痛感しています。神社の仕事ということも考えると、やはりバランスは大切です。

自分のことをおろそかにするのは、本当によくないことです。いま自分は公私ともに目標を掲げてやっています。目標の大小ではないのです。いまは、がむしゃらです。

 高木優美(まさはる)さん(福島県いわき市久之浜)神職

北いわき再生発展プロジェクトチームのリーダーとして、地元・久之浜の復活に向けて活動を続けてきた高木さん。解体を待つ建物に描いた「ガレキに花を咲かせましょう」プロジェクト、全国からのボランティアと地元の若者たちが中心になって開催した「奉奠祭花火大会」など全国的に有名になったプロジェクトの中心人物のひとりだった。しかし、復興に向けての活動を続ける間、高木さん自身は無職の状態だった。ボランティア活動の中心として期待される声が大きかった分だけ、高木さんの苦悩は大きく深いものだったに違いない。約1年前にお話しした際にも、「自分自身のことをしっかりしたい」と高木さんは長いインタビューの後半、ずっとそのことを訴えられていた。

震災から一夜明けた3月12日の日の出を見ながら、高木さんは心に期するものがあったそうだ。それから約1年半が高木さんにとって、どれほど濃密なものだったのだろうかということを思う。いままた転機を迎えられて、2013年に向けて語ってくれた言葉に、自分が人を尊敬せずにはいられない理由に一歩近づけたように思った。

ご自身の本職に戻ることができた高木さんに言祝ぎのことばを送りたいと思います。たくさんの貴重な経験をされた高木さんのこれからのご活躍に期待しています。

写真と文●井上良太