2012年11月1日から18日までタイ王国でFIFAフットサルワールドカップが開催されています。全世界から24ヵ国のナショナルチームが参加し、優勝に向けて熾烈な争いを繰り広げています。日本はJリーグから三浦知良を召集し、ペルーから森岡薫を帰化させて大幅に戦力を強化しました。今回はフットサル日本代表として活躍する小宮山友祐選手のプレーの魅力に迫ります!
【小宮山友祐】 こみやま・ゆうすけ
国籍:日本 生年月日:1979年12月22日(32歳)
出身地:神奈川県身長:172cm
体重:75kg
在籍チーム:バルドラール浦安ポジション:フィクソ
背番号:5
攻守の司令塔となるフィクソがゲームの流れを決める
小宮山友祐はフィクソと呼ばれるフットサルではチームの最後尾に位置するポジションを務めます。このポジションはバスケットボールに例えるならポイントガードような役割を果たします。守備時では自陣中央でポジションを細かく修正してディフェンスを統率し、攻撃時には司令塔の役割を果たして最後尾からゲームをコントロールします。現代サッカーでは少なくなっていますが、求められるプレースタイルはリベロのようなもので、攻守のバランス感覚に優れたプレーヤーに任されます。
1対1の強さと堅実なプレスディフェンスで守備陣を支える
フットサルにはオフサイドが無いので、下手に前に出ると簡単に裏を取られて失点に繋がります。しかし、フィールドプレーヤーは4人なので攻撃時には前に出る必要があり、リスクを冒してでも攻撃に参加しなければなりません。それだけにゲームの流れを読む高い戦術眼を要求されます。
小宮山は前方に積極的にプレスをかけながらも、一発のパスで裏を抜かれないように重心を常に後方に向けています。 1対1のディフェンスに強く、シュートコースを消しながら前に出てインターセプトを狙えるディフェンダーです。同ポジションには村上哲哉や北原亘もいますが守備よりも攻撃に特徴を持つプレーヤーで守備に難があるのが実情でした。実際に小宮山がフィクソに入った場合、日本の失点率は大きく下がっています。
優れたパスセンスと質の高いフリーランで攻撃をリード
フィクソとしてゲームメーカーとしての役割も任されている小宮山は、高いパスセンスで攻撃をリードします。フットサルにおいて最後尾は最もプレッシャーのかからないエリアなので必然的に味方のパスが集中します。ビルドアップに優れる小宮山は、ダイレクトパスで巧みにボールをさばきながらゲームをコントロール。好機と見ればワンツーで相手陣内まで果敢にオーバーラップをしかけます。
予選リーグ第3試合のリビア戦では後半から小宮山を投入したことでゲームの流れが変わります。フィールドプレーヤー4人を横一列に並べた『クアトロ』という戦術を採用した日本は、それまでの悪いリズムを一変させてゴールラッシュを演出しました。ロドリゴ監督の意図を忠実に実行できた、小宮山の攻撃センスが光ったシーンだと思います。前に出て点を取る動きと、パスを繋いでタメを作る状況を見極める判断力に優れます。
総括
木暮賢一郎と共にゲームキャプテンを任されていた小宮山友祐。3大会連続のワールドカップ出場を果たしたベテランは、その経験値と実力をフィールドで遺憾なく発揮してくれました。日本が初のベスト16に進出したのは彼の安定したディフェンス力があったからこそだと思います。惜しむらくは小宮山のように守備能力に長けるプレーヤーが日本に足りなかったことでしょうか。予選リーグで大量の11失点を喫したことは、国際大会での戦い方に新たな課題が見えたと思います。