震災直後の3月20日には再開していた田老駅
秋の日差しを浴びて輝く駅名看板は、震災後に新設されたもの。
元あった看板は津波で流されてしまったそうです。
それでも駅が再開したのは震災直後の2011年3月20日。三陸鉄道北リアス線の宮古~田老間で運転が再開されたのです。壊滅的な被害を受けた田老で駅が再開したことは、きっと地元の人々に大きな希望となったことでしょう。
(田老~小本間も2011年3月29日に運転再開。宮古から久慈までの営業区間では、駅舎が流されてしまった鳥越駅を含む小本~田野畑間を除き運転が再開されています)
駅前から見上げた田老駅です。駐輪場は骨組みが残るばかりで屋根がありません。
震災直後、手前の道路には瓦礫が積み重なり、人が通ることもできなかったそうです。自衛隊や地元の方々の撤去作業で、早期の鉄道運行再開が実現したのです。
駅の入口に隣接して建っている田老観光センターも大きな被害を受けました。
駐輪場はいまも屋根がないせいか、観光センターの1階ロビーが駐輪場代わりに利用されています。
田老駅に入ってみました
線路下のトンネルが田老駅の入口です。通路には「通常運行」を示す時刻表が貼り出されています。
ホームから見た田老の様子。建物らしきものがほとんど見られません。
ホームへの階段部分の手すりには、応急処置の跡が見られます。黒い絶縁テープでぐるぐる巻きにしている箇所もありました。それでも、とにかく早く運行を再開したかったという思いが伝わってきます。
つながろう三陸!
つながろう三鉄!
見渡す限り建物という建物がなくなってしまった駅のホームに、そんな言葉が力強く翻っているのです。
ホームからの階段を下って行った先のコンパネに何かが貼り出されています。
国の天然記念物に指定された日本三大鍾乳洞のひとつ、龍泉洞でのイベントのポスターでした。龍泉洞は北リアス線小本駅からバスで行くこともできる隣町の観光地です。このポスターを見て、当日のイベントに出掛けた人もいたかもしれませんね。
訪問:2012年10月●TEXT+PHOTO:井上良太