見守ってほしい、「原発事故子ども・被災者支援法」

「原発事故子ども・被災者支援法」をご存じですか?

法律の正式名称は、「東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律」です。2012年6月21日に国会でで成立しました。あまり報道されませんでしたが、与野党全会派の議員による議員立法で提案、衆参全会一致で可決されたものです。

福島第一原発事故の影響で避難せざるを得なかった人の中には、生活環境の変化や経済的苦境で苦しんでいる人が数多くいます。国は年間20ミリシーベルトを基準で避難区域を設定しましたが、避難区域の外側から避難した人もたくさんいます。多くの人が「せめて原発事故以前の年間1ミリシーベルトに基準を戻してほしい」と考えています。この思いは切実です。本当は避難したいのに、仕事の事情、経済的な事情、家庭の事情で避難できない人がいます。逆に、福島に留まりたいのに避難せざるをえない人もいます。

被災地では、避難・疎開といった言葉がタブー視されることもあるそうです。避難せずにその土地の生活を守っている人たちに、それらの言葉が差別を感じさせてしまう場合があるというのです。「避難しなければならなにのに避難しない人」、

「疎開させなければならないのに、疎開させない人たち」というように。避難する人と、その土地に残る人たちの間にわだかまりが生じているのです。

これって、たいへん残念なことだと思いませんか。6月に可決された法律の画期的なところは、

◆残る人も避難する人も支援対象であること◆原子力政策を推進してきた国の社会的責任を明示したこと

◆ネガティブリストと国の立証責任を定めていること◆与野党超党派で提出された議員立法であること

つまり、原発事故によって、放射性物質が拡散してしまったこと、放射性物質がいまも残る場所で生活する不安を、法律として認めた点が画期的なのです。もしも健康被害が生じた時、被害者が因果関係を証明する必要がない点も特筆です。しかし、支援対象地域や支援の詳細については定められておらず、この法律の理念に基づいて、国の支援を具体化させることが必要なのです。法律の成立以来、各地で支援の具体化を進めるためのフォーラムが開催されています。10月13日(土)には、福島県郡山市で開催されます。  

原発事故の被害を受けられていない地域の皆さんへ福島での出来事は他人事ではありません。いまも福島から全国のさまざまな土地に、多くの子どもたちが中長期のステイ(ほよーん:保養)で滞在しています。お近くでそんな活動があれば、ぜひサポートをお願いします。

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