『なでしこジャパン』の下の世代、『ヤングなでしこ』の存在を知っていますか?U-20代表と呼ばれている20歳以下の若い選手達です。2012年8月19日より、FIFA U-20ワールドカップが日本で開催されました。各選手はこの大会で自分の力をアピールし、ビッグクラブへの移籍やA代表への選出を目標にしています。今回はヤングなでしこの右サイドハーフとして活躍する田中美南選手のプレースタイルに迫ります!
【田中 美南】 たなか・みな
生年月日:1994年4月28日(18歳)
出身地:タイ
身長:161cm
体重:52kg
在籍チーム:日テレ・ベレーザ
ポジション:FW・MF
背番号:19
なでしこでは珍しいウイングタイプのドリブラー
所属チームの日テレ・ベレーザではフォワードとして起用される機会が多い田中美南選手ですが、U-20では右サイドハーフとしてレギュラーを確保。右サイドの攻守の起点として、ヤングなでしこの中盤を支えています。日本の女子では珍しい純粋なウイングタイプのプレースタイルを持っており、縦への突破力はA代表を通じても随一の能力を持ちます。
DFとのマッチアップでは高い確率で突破できるドリブル精度の高さを誇り、前方に十分なスペースがあればDF2~3人と対峙してもゴール前にすり抜ける切れ味を持ちます。細かいフェイントは一切入れず、スピードの緩急と切り返しでDFを次々と抜き去るしなやかなドリブルは見るものを魅了します。バイタルエリアから一気にペナルティエリア内に侵入すると、右足で高精度のクロスボールを供給するだけでなく、好機と見ると中央にカットインして意外性のあるスルーパスを通します。
右サイドから攻守のリズムを生み出せる
ドリブル突破など個人技が目立つ田中美南ですが、高い戦術眼を持つのも特徴です。ボールを受ける前にディフェンスの前から一度消え、前方にスペースを作り出してから一気にバイタルエリアに飛び出します。フリーでボールを保持すると高いテクニックでタメを作り、サイドバックのオーバーラップを引き出したり、ワンツーからペナルティエリアに侵入するなど、多彩なコンビネーションでディフェンスラインを崩します。
また、攻撃だけでなく守備でもチームへの貢献度が高い選手です。豊富な運動量で前線へチェックをかけるだけでなく、中盤でもゾーンプレスの要となる存在です。プレーエリアが非常に広く、ときには自陣のペナルティエリアまで戻って献身的な守備を行います。尽きることのないスタミナで90分間ピッチを走り回り、右サイドで攻守の起点となります。
サイドバックとして育てれば、近賀ゆかりの強力なライバルに
攻守に渡って存在感を放つ田中美南ですが、一度サイドバックとしてテストする価値があると思います。縦に抜け出すドリブルの破壊力に加え、無尽蔵のスタミナとディフェンス時のマンマークの強さはサイドバックにうってつけの素材です。
『なでしこジャパン不動の右サイドバック』は近賀ゆかりですが、彼女の後継者として最も高い可能性を秘めた選手は田中美南ではないでしょうか。攻守のバランス、縦への突破、オーバーラップのタイミングなど、全てのプレーに高いクオリティを持つ逸材です。
総括
今後、なでしこジャパンへの召集も十分に考えられるプレーヤーです。ポジションや戦術面など、どのような形で起用されるのか興味深いところです。希少価値の高いウイングタイプのドリブラーとして、同じドリブラーの大野忍や横山久美とは違った存在価値を示してくれると思います!