絵画に興味がないなんてもったいない!
絵画を楽しめれば人生が豊かになる!
という個人的な思いから、ちょっとでも興味を持てるような鑑賞方法を考えていきます!
今回は「同じ主題」に注目してみたいと思います。
幼児虐殺
絵画とは切っても切れないのが宗教です。
文字の読めない信者に伝えるための手段として、キリスト教の絵は多くの画家に描かれてきました。
画家によって視点が大きく変わってくるというのを、「幼児虐殺」というショッキングなテーマから見ていきたいと思います。
幼児虐殺(ようじぎゃくさつ)は、新約聖書の『マタイによる福音書』2章16節~18節にあらわれるエピソード。“新たにユダヤ人の王となる子”(イエス・キリストのこと)がベツレヘム(ベトレヘム)に生まれたと聞いて怯えたユダヤの支配者ヘロデ大王がベツレヘムで2歳以下の男児を全て殺害させた出来事。
ジョットの作品
まずは、イタリア・ルネサンス前に描かれたジョットの作品。
頭上のヘロデ王が男児の殺害を指示し、母親たちが必死に抵抗する様子が描かれています。
足元に人形のような幼児の遺体が転がっており、すでに多くの幼児が殺されたあとのようです。
ブリューゲルの作品
オランダの画家ピーテル・ブリューゲルの作品です。
1枚目の絵はよく見ると幼児がいないのです。
カルヴァン派による聖像破壊運動という時代背景もあり、どうやら後年になって幼児たちは動物などに描き変えられたようです。
2枚めはピーテル・ブリューゲル(父)の作品をコピーしたピーテル・ブリューゲル(子)の作品です。
こちらは殺害された幼児たちが描かれています。
遠くから俯瞰した視点で、何が起きているか一見わかりにくいですね。
グイド・レーニの作品
バロック期に活動したイタリアの画家グイド・レーニ。
子を守り逃げる母、止める母、亡くなった子を思って祈る母の恐怖や絶望を浮かべた表情が描かれています。
地上の虐殺を傍観している天使に異質な感じをおぼえます。
いままで紹介した2点に比べて人間味があふれて現実感が増す作品です。
ルーベンスの作品
次はルーベンスの2作品です。
1作品目は幼児の肌の色が青くなっており、殺害してからの時間の経過を感じます。
2作品目は左上に天使が描かれています。
天使は美しいものの、この状況をただ眺めているだけだというのが、冷酷で全くの別世界の存在ということを感じます。
レオン・コニエの作品
フランスの新古典派、ロマン主義の画家レオン・コニエの作品です。
我が子に迫る死に恐怖してこちらを見ている母。
まるで鑑賞者が彼女に驚異をもたらそうとしているような気になってしまいます。
まとめ
こうやって一つの主題で様々な絵画を鑑賞すると、『幼児虐殺』というストーリーに対して様々な解釈や視点があることがわかります。
画家が違うのでいろいろな作品があるのは当たり前です。
しかし、これだけ見え方はたくさんあるということです。
いま私たちの周りでも様々な出来事がありますが、自分のとらえている視点だけではない別の見え方があるということを認識することは大切ではないでしょうか。