絵画鑑賞を楽しむ ~背景を知る~

絵画に興味がないなんてもったいない!
絵画を楽しめれば人生が豊かになる!

という個人的な思いから、ちょっとでも興味を持てるような鑑賞方法を考えていきます!

今回は背景を知る!!

以前の記事では「なんの前知識もなしに鑑賞するのも面白い」と書きましたが、今回は「背景を知るから面白い」という視点で見ていきます。

ヒエロニムス・ボッシュという画家

『快楽の園』

ja.wikipedia.org

私の大好きな画家の一人ヒエロニムス・ボッシュ(1450年頃 - 1516年)はルネサンス期のネーデルラントの画家です。

Wikipediaなどで彼について多少知ることも出来ますが、資料が少ないことから今出ている情報も決定的ではないと言われています。

私が学生時代に聞いたボッシュについての情報はWikipediaとはやや違っています。

・とにかく情報がなく彼の生涯の詳細は不明である
・宗教的秘密結社に所属していたらしい
・所属していた秘密結社は富裕層が多かったようだ
・ボッシュの不可解な絵には、秘密結社の中ではきちんと意味があったとされる
・ヨーロッパ中に彼の絵が渡ったのは、秘密結社の教徒が各地いたためだろう
・ボッシュの情報が少ない理由は、ボッシュ自身が存在を消して活動していたからと考えられる

このように書くとかなり怪しげな人物像ですが、Wikipedia通りだったか私の聞いた話が真実に近いのかは分かりません。

いずれにしてもキリスト教の絵画があふれる中で、ボッシュの絵が異質な雰囲気を放っていたのは作品を見ても感じます。

試しにこの時代のフランドル作品を並べてみるのも良いかもしれません。

この時代の画家は今と違う

『最後の審判』

ja.wikipedia.org

なぜこの時代にボッシュの絵が生まれたのかというと、ボッシュという画家が異質だっただけではないようです。

というのも、当時は画家が頭の中で思い描いたものを描く時代ではありません。

すべてスポンサーが描かせるのです。

今の画家と決定的に違うのは、主題の決定権が画家にはないということです。

この点を知って絵を見ると、色々と繋がってくるような気がしませんか。

宗教的秘密結社が描かせているとすると、キリスト教的でありながらキリスト教にしては解釈しにくい様な世界観が異教徒だった可能性を感じさせますし、異教徒だからこそボッシュについての存在が出てこないのも分かる気がします。

もしもキリスト教からの依頼ならばこれだけ有名な画家であればもっと情報があっても良いようなものです。

そして作品の数から、資金力の多さも感じさせます。
時代は違いますが、フェリペ二世(スペイン王)がコレクターだったことから、もしかしたら王家も絡んでいたのかもしれません。

まとめ

そんなふうに色々推理をしていくと、一つの作品が出来るというのは奇跡に近いのだと思います。

画家がいるから今目の前にある絵画が生まれるわけではないのです。

もちろん画家がいないと生まれませんが、時代、場所、所属、道具、人とのつながり、思考などの様々な要素によって偶然もしくは必然で生まれてくる。

これはパトロンやコレクターなどのスポンサーがいた時代だけではありません。

今だって画家の頭の中の世界が表現されているとしても、いろいろな要素によって作品は出来ていきます。

そんな絵画を目にすることが出来るなんて最高に幸せなことだと思います。

絵画鑑賞がちょっと特別に思えてきませんか。