Googleラーメン・2021年8月

手持ちのラーメン写真をGoogle画像検索にかけたら「店名を特定した」とか「沖縄や海外の麺料理として判定された」とか、「家系は『韓国海苔』と判定された」とか。

今となっては何を語っても虚ろな気持ちがふわふわと空を漂うだけです。今回はGoogle画像検索に何も期待せず、淡々と作業を続けましょう。

「貝出汁らぁ麺 燈や」さん(三島市)

貝のダシという特徴豊かなラーメン屋さんが登場しました。貝は大好きなのでとてもうれしいです。「燈」は「ともしび」と読みます。

スープをすすれば「おお!貝だ貝!すごく貝!」のひとことが口を突いて出ます。アサリと、ホタテも入っているのかなあ、優しいけれどお前に夢中なコハク酸特有の旨味がガツンとやって来ます。

この燈やさんでは醤油と塩の2種類をいただきました。画像検索結果はこちらです。

こちら「貝出汁醬油らぁ麺」
こちらは「貝出汁塩らぁ麺」

どちらも「ボウル」と判定されました。レンゲをわかりやすく置いたのに「スプーン」判定はありませんでした。最近の「器ファースト」な傾向は動いていないようです。

「麺奏 弥栄」さん(沼津市)

こちらも難読店名ですね。「麺奏 弥栄」は「めんそう いやさか」と読みます。

最近のお店だと柔らかいメンマや低温調理のしっとりチャーシューあたりは標準装備なんでしょうか。おいしいですよね。ただしわたしがこちらのお店に強く惹かれたのは

「いい醬油。いい鰹節」

です。ほかに煮干しのラーメンや魚介豚骨もありましたが、今回は「うまい醬油ラーメンが食べたい!」の一心。腹にも心にも気持ち良く願いが叶いました。

この時わたしたちのほかのお客さんは女性のひとり客がお2人。額に滲む汗をハンドタオルで丁寧に拭きながら、満足そうな表情で食べていらっしゃいました。醤油のグルタミン酸と鰹節のイノシン酸。わかりやすく美味すぎる相乗効果ですね。

ということでこちらの「手打ちラーメン(醤油)」と「テビヤマ」の2種類を画像検索してみましょう。

こちらは「手打ちラーメン(醤油)」

はい。こちらもボウルですね。ボウルじゃないですけどね、お次はこちらの写真へ。

こちらは「テビヤマ」。江戸時代から伝わる幻の鰹節製法「手火山(てびやま)式」で作られた本枯節を使ったスープです。

ここでスプーンが来ました。

前回の最後に「serveware(給仕の道具)」という結果が出てきた時の

"「これは既にボウルでもなく『給仕の道具』という『もっと大雑把な捉え方』に変わったのではないか、わたしはまさに今、その瞬間に立ち会ったのではないか」"

という仮説も空しく、これと言った工夫もなくボウルボウルを繰り返したと思ったら気まぐれにスプーンを持ってきたり。つまり「味も素っ気もありゃしない」という検索結果でした。つまらねえ大人になっちまったな、Google先生は。

世界のGoogleによれば、わたしはボウルやスプーンを頼んだに過ぎず、そこにラーメンなんてなかったことになります。つまりゼロカロリーです。良かったです。