自閉っ子と「ねこ」~その1~

昨年末にちらっとご紹介した通り、新しい家族としてわが家に保護ねこちゃんを迎えることになりました。

乗馬体験の時にも少し触れたように、自閉症などの発達障害を持つ人にとって動物が良い影響を与えたという実例はたくさんありますし、研究も進んでいます。

うちの娘に関しては、動物園などでヒツジ、ヤギ、牛、馬などの大きな動物に対しては「いやおうなしに見える」ので「なにかいるな」「さわってみるか」ぐらいの反応は時々あります。

しかし小型の動物、特に黒い子なんかだと「見えてない」というかよくわからないようで、あまり反応を示しません(黒いと「舌」だけが目立つので、舌をつかもうとしたことはあります ^_^;)。

縁があれば

ただし、私や妻の友達が連れてきたワンちゃんにすごく良い反応をしたことがありました。

これはそのワンちゃんたちがしつけの行き届いた賢い子で、動きも発声も赤ちゃんそのものである娘を見て「面倒見てあげなきゃ」のスイッチが入って、とても優しく近づいて来てくれたことに娘も笑顔をワンちゃんの目の前まで近づけて応えたという感じでした。

とにかく、娘にとって何かいい影響があるのなら「いつか動物をわが家に迎えて、娘とみんなで暮らしてみたい」という希望はいつも持っていたのでした。

ワンちゃんも好きだけど、正直なところわが家の現状では「まいにちさんぽ」に連れて行ってあげるのが非常に難しい…。

ということで何年も前から「保護ねこ」ちゃんと縁があったら、真剣にわが家に迎えることを考えてみよう、とアンテナだけは張っていたのです。

意外な好反応

そんなとき、同級生が保護ねこハウスの運営をお手伝いしていることを知り、見学に行ってみることにしました。

本当は娘の急な奇声や激しい動きにも動じないような「ボス」タイプの大人ねこちゃんを探していたのですが、娘が笑顔で反応したのは好奇心旺盛で誰にでも果敢に近寄ってくる子ねこちゃんだったのです。

結局20匹以上のねこちゃんと同じ空間でしばらく過ごしたこの日、娘が「唯一反応した」と言えるのがこの子でした。

わたしもママもいろいろ考えましたが、やはりこの時の娘の「反応」にかけてみることにしました。この子ねこちゃん(生後もうすぐ5カ月。オス)を家族として迎えることにしたのです。

保護ねこハウスにて。娘がこんな表情を見せるのはすごく珍しいのです。

「アイリスちゃんとスーラ」になれる?

「自閉っ子とねこ」といえば有名なのが「アイリスちゃんとスーラ」のお話。

こんなかわいい写真の数々を見ちゃったらついつい「この感じ」を期待してしまいますが、一緒に暮らしておよそ3週間になる娘とねこちゃんの関係はというと…

保護ねこハウスではニコニコ触っていた娘も、いざねこちゃんが自分のテリトリーに入ってきたら、微妙に「間合いを測っている」感じ。

ねこちゃんがケージにいる時、娘は「自分は優位に立っている」とでも思っているのか、態度に余裕があります。

しかしケージから出てきたねこちゃんが近づいてくると、自分が「のってない」時は下の写真のように「なんだよ」ぐらいのつれない態度。

この仏頂面の数々…「アイリスちゃんとスーラ」にはほど遠いですね(^_^;)。

ただし、足を引っかかれても噛まれても「強く払いのける」ようなことはしません。いったんねこちゃんのしたいようにさせたあと、不快だったら娘が自分から離れていきます。

そして自分の気分がいい時だと…

最近好きな「オトッペ」を一緒に観たり

ねこちゃんの顔をしっかり見てから

窓ガラスの「結露」で遊ぶ様子を見せたり。その時々でいろんな反応を見せてくれます。

いまわかっている大きな変化と言えば、わたしたちがねこちゃんをかまっていると「自分の相手をしろ」と言わんばかりに引っ張りに来るなど、あきらかに「やきもち」的な感情を見せること。

かと思えば、朝一番でケージに近づいて手を振ってみたり伸ばしたり。また、ねこちゃんの姿を見ただけで(わたしたちの言葉をまねて)「ねこちゃん、ねこちゃん」と言ってみたり。

娘はねこちゃんのことを、ねこちゃんは娘のことをどう思っているのでしょうね。

わたしとしては「夜中、娘に起こされてリビングで過ごすときの仲間が増えた」と思っていますが、娘の声も動きも激しい時があるので、ねこちゃんにはストレスかな…(でも娘がギャーギャー叫んでいても平気で爆睡しているときもあります)。

とりあえず「お腹が空いたとうるさくて、多動で、噛むし、引っかく家族」がもうひとり増えました。まさかの「キャラかぶり」です。

「アイリスちゃんとスーラ」とはだいぶ違いそうな(^_^;)娘とねこちゃんの関係はどうなっていくのでしょう?これからもぼちぼちご紹介させてくださいね。