地域の歴史を知る休日(富士山資料館)

今回は御殿場の隣にある裾野市。市の中心部からかなり北側に進み、富士山・御殿場口の5合目に行く途中にある裾野市富士山資料館です。

富士サファリパークやぐりんぱといったレジャー施設のすぐ近く。こうした施設とセットで見学しても良いかもしれません。

富士山の成り立ち、歴史、動植物、それにまつわる人々の生活など富士山に関する資料を展示しています。郷土資料館が併設され、地域文化の移り替わりを目で見て楽しむことができます。さまざまなテーマの企画展、特別展の開催、各種講座も開催しています。

引用元:富士山資料館/裾野市

富士山域の住民

受付を済ませ、中へ進んでいくと最初に出迎えてくれたのが、はく製の動物たちです。アカギツネ、ニホンカモシカ、ツキノワグマ、二ホンイノシシなど。これだけまとまって並んでいるとちょっと不気味です・・・。

日本には、7目22科104種ほどの陸生哺乳類が分布し、富士山域には、そのうちの6目14科38種が知られています。

引用元:裾野市立富士山資料館

富士山の5合目以下の森林地帯には、本州中部に住むたいていの哺乳類動物が暮らしているのだそうです。サファリパークの周辺にはこんなに多くの野生動物が生息しているのですね。(こちらの資料館までの道のりにも森林が続いています。)

そういえば、このはく製動物の中には、身近な野生動物として思い浮かぶニホンザルはいません。

山にも生息しているのではと思いましたが、サルは生活に必要な水場(川など)がない場所は好まないそうで、水場のない富士山には住んでいないといわれています。

そのほか、鳥類そして植物の展示もあります。特に植物は、北南側の斜面それぞれで異なる形で草木が分布していることは驚きでした。(たとえ同じ標高でも山梨県側と静岡県側で別の草木が生息している)

富士山が噴火したら何が起きる?

富士山は様々な動植物の生息地でもありますが、日本最大級の火山でもあります。

こちらでは、噴出物や溶岩洞窟、山の地下構造の解説など、最後の噴火(1707年の宝永噴火)を中心に多数展示物が置かれています。

ここで過去の噴火に注目。

富士山の噴火は、これまで十数回が記録として残されています。その中の代表的なものが以下の噴火。

1.延暦(800年)19年~21年(802年)の噴火
富士山東麓からの噴火により、三島から黄瀬川を登り現在の裾野市、御殿場市、小山町を通り、足柄峠を越え小田原へ抜ける街道がふさがれました。噴火が続いたことにより、それを鎮める目的で山のふもとに浅間神社が建立されたのがちょうどこの時代です。

2.貞観6年(864年)の噴火
富士山北西側にある長尾山の噴火により、セの湖(現在の富士五湖のもとになる大きな湖)に大量の溶岩流が流れ込みました。それによって、いまの西湖、精進湖、本栖湖を形づくったといわれています。

3.宝永4年(1707年)の噴火
富士山南東側五合目、標高2,500m付近で噴火が開始。大きな音とともに噴煙(上空15km以上まで煙が上がったと推測されている)が吹き上げる噴火で、小休止を入れながら約16日間続きました。中でも第一火口と言われる火口の噴火は特にすごく、爆発によって山体の一部を吹き飛ばし大量の火山弾、火山礎、火山灰を噴出しました。

今では自然が魅力の富士山周辺の観光スポットですが、このように富士山の噴火によってもたらされた場所も多いようです。

そして、富士山の噴火によって噴出された岩石(実物)を見れるコーナーでは様々な噴出物が直近の宝永噴火によって発見されたことがわかります。(なぜ多様な噴出物がこれほど放出されたのかは明かされていない)

このようなものが上空から飛んでくるとは・・・。想像よりも大きいです。
決してマグマが固まってできたような岩ばかりでなく、比較的軽そうな石もあればガラス質の石もありました。よくラグビーボールのような形をしている印象だった火山弾も形は様々で、棒状であったり球形のものもあったのも意外な発見でした。

前兆現象の研究もおこなわれていますが、本当の直前まで予測できないのが噴火。
将来起こるかもしれない富士山の自然災害について学べる資料館です。

ちなみに富士山の資料館や博物館はこちらの他にもあるそうです。

突き詰めていくと、実際は内容が異なるのかもしれませんが、このように「富士山」という一つのテーマで複数の資料館・博物館があるなんて!さすが日本一の山です。機会があればこれらの施設にも訪れて、展示されている内容を比べてみたいと思います。