確定申告の時期がやってきた!

毎年2月16日~3月15日は個人の確定申告の時期です。事業を営んでいる方はみなさん頭を抱える時期ではないでしょうか。

特に青色申告(白色申告と比べ、様々な税制上の優遇を受けることができる)で決算をする事業者は、取引を複式簿記(仕訳)で厳格に記帳する必要があります(簿記を知らない人にとっては、白色申告って何?複式簿記って?仕訳って?と「?」だらけになってしまうと思いますが・・・)。

実際に経験したことのある方なら分かると思いますが、この時期に何百件、何千件という取引を、まとめて一年分記帳をするとなると、大変なことになります。ただし個人事業者の所得税の納税に申告納税制度をとる日本では、面倒くさいけど自分から申告しないともっと面倒なことになってしまうので、やらざるを得ません。

今年は、自営業を行っている義父が、手書きの帳簿を会計事務所でチェックして申告してもらっていたのを、お金ももったいないし安い市販の会計ソフトを買って、自分でパソコンを使って全部やってみたいと言い出しました。

(どうやら話を聞いていると、会計事務所と資料の整理の仕方でもめたようです・・・。)

ちなみに義父は70歳近くになりますが、今までパソコンに憧れて何度も最新のパソコンを買ってはそのままお蔵入りにしている新しいもの好きの常習犯です。パソコンはワープロの時代から10年以上かけて、やっとシャットダウンが出来るようになりました。キーボードも配置が分からず、インターネット環境もありません。

いつもならパソコンを買って満足しているのですが、どうやら今回は本気で考えているようです。行きつけの電気屋さんの店員さんにも相談済みで「簡単にできるだら~!(遠州弁)」と張り切っています。

そんなわけで、どうしたものかと頭を抱えているのです。

<選択肢1> 会計事務所に引き続きお願いする

今まで通り手書きで帳簿を作って、資料を整理して申告は専門家にお任せしてしまう、義父の要望には応えられませんが、一番現実的な選択です。会社の仲間に相談したところ、ほぼこちらの選択肢一択でした(笑)。

会計事務所にお任せするメリットは、何といっても申告書類に信頼性が担保されることです。税務署側も会計事務所の名前が入っていれば、個人申告の場合よほど不自然な点がなければ税務調査はほぼないでしょう。

それから毎年のように改正される最新の税制への対応、節税相談や経営の相談もしてくれるのは大きいです。

反対にデメリットはコストの問題です。ただでさえ経営が苦しい中で、なかなかコストを捻出するのも大変です。

あとは担当者と気が合うかどうかですが、こちらの方が問題かもしれません。義父は大工一筋50年の頑固な性格なので、なかなか気の合う担当者がいないのではないかと思います。

ただ、税務や経営の相談がいつでも可能なことで、節税や利益増加を期待できることからすると、コスト以上のメリットがありそうです。また最近ではインターネットで手軽に会計事務所を探すこともできるので(探すのは自分ですが)、気が合う担当者を見つけやすいと思います。

そんなわけで自分も第一候補として、こちらの選択肢をおススメしたいです。

<選択肢2> 自作した会計ソフトに入力してもらう

仮に会計事務所にお願いするとしても、やはりこのご時世で手書きの帳簿は何とかしてあげたい。

手書きのデメリットは同じ文字を繰り返し書く必要があり煩雑で間違えやすいこと、そろばんや電卓での集計が大変なこと、金額を記入間違いした場合にその間違いを探すのが絶望的に困難なこと、集計間違いや抜けがないか税務署に疑われやすい、災害で消失する可能性があること、など上げればキリがありません。

反対にソフトを使用する最大のメリットは、仕訳をデータベース化できることです。一旦データベース化してしまえば、それを元に色々なことができます。経営分析にも使えるし、もちろんその後の帳簿作成もグンと楽になります。これはお金では決して買えない独自の財産となります。

会計ソフトを自分で作るメリットは、使用者にあった設計ができる、仕様変更の要望に応えやすい、自分が作っているので使い方を説明しやすい、利用コストがかからない、PCがあればネット環境が無くても使える等があります。

反対にデメリットは、市販の会計ソフトと比べると機能が劣る、制度改正にスピーディーに対応できない、テストが十分でなく思わぬバグが発生する可能性がある、等になります。とりあえずテストを兼ねて、最低1年分は自分で入力作業をする必要があります(自分がタダ働きというのも忘れてはいけません・・・)。

数字はサンプルです。

画面の作りは、老眼の義父のために、とにかく文字を大きくして必要最低限なシンプルな作りにすることを心がけます。

簡単な会計ソフトなら、エクセルが使える環境であれば、エクセルでも作ることができます(例えば上記のような表なら、「SUMIFS関数」と「SUBTOTAL関数」を使えば作成できそうです)。ある程度エクセルを使える人は、自分でエクセルを使って仕訳を集計している人も多いのではないかと思います。

数字はサンプルです。

会計ソフトの作成で一番の難所は、仕訳入力フォームの作成です。いかに簡単にスピーディーに入力できるかがカギです。義父はキー入力ができないため、あえて数字以外は一切入力できないようにしてしましました。

上記の画面で入力できるのは、「証憑」・「月」・「日」・「金額」のみ。他の項目はドロップダウンリスト形式で、表示された候補の中から選択します。候補にない場合は、とりあえず「HELP」を選択しておいてもらい、あとで自分がエクセルに出力して修正してから、また取り込みを行います。

「取引先名」や「摘要」の候補は、直近3年分くらいの仕訳データを「部門」・「科目」から絞り込んでよく使う上位何件かを表示する仕組みです。

色々と工夫が必要ですが、どうすれば使いやすいか考えるのは意外と面白いです。

ちなみに、会計ソフトで集計したデータをもとに、「e-Tax」の確定申告書等作成コーナーで自分で簡単に申告書を作成することができます。ただし、本人または税理士以外の人が作成してしまうと法律違反になってしまうので注意が必要です。

<選択肢3> 市販の会計ソフトを使う

市販の会計ソフトは様々な企業で開発されています。最近の傾向はクラウド化、銀行口座やクレジットカード明細からの自動仕訳作成、AIによる証憑のスキャン画像分析による自動仕訳作成等の機能を持つものが主流になっています。

フィンテックという言葉を耳にした方も多いのではないかと思いますが、この業界にもフィンテックの波が押し寄せてきているようです。

これらの会計ソフトを使用するメリットは、経理作業時間の大幅な短縮、手作業による単純ミスの排除、給与システムや販売システム、業務システムと連携し一気通貫で決算書まで作成できること、経営分析機能が充実していること、常に最新の税制に対応していること、サポートが充実していること等があげられます。

デメリットは、幅広く利用してもらうために様々な業種に対応した設計となっているため、最初に自分の業種にあった設定を行うのが大変ということです。ここでつまづいてソフトを買ったけれどお蔵入りになってしまう方が多いように感じます。

また、ある程度作りこまれた使いがっての良い会計ソフトであれば、当然有料となり費用がそれなりにかかります。また最先端の機能を使うためには、インターネット環境やスマートフォン、スキャナ等が必要となってきます。

ただ、それだけお金をかけても利便性や大幅な経理作業の時間短縮のメリットの方が大きいように思います。

こちらの選択肢はシャットダウンしかできず、ほとんどキーボードも打てない、インターネット環境もない、ガラケー使い(電話機能しか使えない)の義父には、逆に複雑すぎてハードルが高すぎるかもしれません。

ただお試し期間を使って試してみる価値はあるのでは?と考えています。とりあえず、スマートフォンかタブレットを買ってもらい、証憑はすべてカメラで撮ってもらい、あとは音声入力で頑張ってもらえば、今の技術があればそこそこの精度で帳簿が出来上がるのではないかと期待しています。

こちらの案は、自分も最先端の技術に興味があるので、まずは自分がお試し期間を使って実験してみようと思います。

(「自分はこうしてるよ」など、何か良い案がありましたら、ぜひアドバイスをお願いします!)