こちら葛飾区の「かつ」についてのお話

仕事で東京都葛飾区の公式HPを見ていたら、「葛飾区」の「葛」の字についてのことが書かれていました。

ちなみに今、みなさんのパソコンでは

これまでに登場したこの字 ⇒⇒⇒ 「葛」

画像1

と表示されているでしょうか。

それとも

画像2

と表示されているでしょうか。実は両方あり得るのです。

作者の秋本治先生はもちろん葛飾区亀有出身。連載当初は「山止たつひこ」というペンネームでした。両さんがまだギラギラしてますね。

規格にまつわるエトセトラ

地名としての葛飾には古くから画像1「草かんむりに日」の下の「句」の「口」にあたる部分が「L人」の方が使われており、こちらが正式な字でした(以下「L人」と記します。

それに対して画像2「「草かんむりに日」の下の「句」の「口」にあたる部分が「ヒ」の方は「略字」でした(以下「ヒ」と記します)。

コンピュータで使われている漢字に関しては規格があり、これまでに何回か改正されています。

しかし、ある時の改正で「これが正しい」と指定されたのはなぜか「ヒ」の方で、「L人」の方は指定から漏れてしまったのです。

そうなるとワープロやコンピュータでは「正しい」はずの

は表示されないことになってしまいます。

そこで葛飾区ではワ-プロの各メ-カ-に「L人」の字を搭載するようにお願いしたり、各新聞社にも区名表記の際、ちゃんと「L人」を使うように呼びかけました。

やがて平成16年に「JIS漢字コード表」が改正され、「ヒ」ではなくて「L人」と表示しようということに決まりました。これにより、改正後の漢字JISコード表に対応したOSを搭載したコンピュータでは「L人」と表示されます。

高級食材「よしのくず」の場合

ご存知のとおり「かつしか」の「かつ」の字は「くず」とも読み、和菓子や日本料理に使われる食材として知られています。中でも奈良県産の「吉野葛(よしのくず)」は最高級品として珍重されています。

これをネットで検索してみると、こういう写真が出てきました。

包み紙には「ヒ」の方が使われていますね。きっと、ずっと前から「ヒ」を使ってきたのでしょう。筆者も個人的には「響きが『くず』」の時は「ヒ」の方がしっくりきます。

あなたはどっち?

Windowsでいえば「OSがXP以前のものかVista以降のものか」によって「L人」が表示される人と「ヒ」が表示される人に分かれるようです(企業や用途によってはまだ一部でXPも頑張っているらしいので)。

いずれにせよ誰のコンピュータでも基本的には「どちらか一方の字しか表示されない」はずだと思うのですが、この2字について丁寧に説明している葛飾区の公式HPでは、本文の中に「L人」と「ヒ」の両方が出てきます。

なぜそんなことができるか、それは

「ふたつの字体を画像処理しているため」

だそうです。なるほど。

しかも文字を拡大表示しても見やすいよう、文字拡大版のPDFまで用意してくれています。ごくろうさまです葛飾区!