天旗写真集

凧を繰り出すのは市内外から集まったボランティア。震災後ずっとこの地を訪ね続けて来た若者がいる。今年に入ってからだけでも4回やってきた大学生もいる。

凧は舞う。龍がごとくに空を舞う

気仙地域で亡くなられた方の数だけ揚げられた凧。初回から参加しているというベテランが強風の中で教えてくれる。今年はたぶんこれまでで最も順調だ。これまでには、ほとんど揚げられないこともあった。風が強過ぎて失敗したこともあった。すべての凧を揚げられたのは去年に続いて二度目ではないか。

そんな言葉を聞いて凧揚げの糸を掴んでいると、空の上から凧の声が聞こえてくる。

凧の声に耳を澄ませてほしい。

テレビのリポーターも興奮気味。

天に昇ろうとする龍のようにも思えてくる。

強風のあまり、揚げ手を放れて飛去った連凧もあったが、古川沼のほとりに糸巻きが着地。警備の人が糸巻きを手に凧揚げ会場まで凧を連れて上がってきてくれた。拍手が起きる。

天旗は陸前高田のシンボル

たくさんの龍が空を舞う。
たくさんの龍が人と人をむすぶ。
いまここにいる人と、天に昇った人たちと
そしてまた、いまここにいる人たちとを。

凧が空を舞ったのはどれくらいの時間だったろうか。

すべての出来事に終わりがあるように、今年の天旗もやがて回収されていった。

箱に収められた連凧を抱えて撤収する人の姿がある中、じっと海を見つめている人の横顔もあった。神戸から何度も訪れてきた彼女は何を思うのか。