この夏、静岡県の高校野球をもっと楽しく見る方法。注目選手&注目チームを一挙公開!

9日に予定していた開会式と開幕試合は、雨のため順延になりました。
これは2007年以来9年ぶりのできごとです。

開会式と1試合だけなら、それだけずらぜばといいじゃんと思うかもしれませんが、開会式は草薙球場に112校が集結します。そこから移動して試合というわけにはいかないんです。

この順延でどう変わったかと言うと...シード校は少し日程的に不利になった気がします。とくに右側のブロック。第1シードの常葉橘、第4シードの東海大静岡翔洋、5番目のシードの静清、6番目のシードの浜松修学舎は初戦、2戦目と連戦になってしまいました。

そしてこの順延によって一番変わったのは準決勝と決勝戦が連日になったことです。
これはかなり酷です。甲子園を賭けた最後の戦いが連戦なのですから。。

ここからは注目チーム、注目選手、そして注目のカードを紹介します。
この夏、もし高校野球を見る機会があったら、注目してみてください!

まずは注目チームをピックアップ

甲子園に近い強豪チームから話題のチームまで、わたしが注目しているチームをピックアップしました。いろいろな見方をすると高校野球をもっと楽しくみることができます。

■常葉橘
春は県大会だけでなく東海大会も制覇。もともとなぜこのチームが勝てないのかと思っていたくらいでしたが、春ようやく開花しました。エースの谷脇くんの抜群の安定感とキャプテン大嶋くんの統率力。名将小林正具監督が現場に復帰。夏に照準を合わせたチーム作りはしっかり進んでいます。現時点では甲子園に1番近いチームでしょう。

■静清
常葉橘と1番早く対戦するシード校は静清です。エースの横尾くんをどれだけ打線が援護できるかでしょう。エースの横尾くんは春先は不運が続きましたが、すっかり完調しました。

■常葉菊川
常葉菊川は相当強いです。今ひとつ勝ちきれない試合が続いていますが、くやしい秋、春を超えて夏を迎えた今、チームがどう変わったか注目です。ノーシードからの大逆転があっても驚きません。

■加藤学園
徹底した管理野球、そして練習量の多さは県内でも上位でしょう。
今ひとつツキから見放されている感はありますが、米山監督のもと、選手はラストチャンスに燃えています。
つまらないミスをしなければ、頂点に立つチャンスは十分あるでしょう。

■三島南
50年ぶりのシード獲得で盛り上がりました。三島南の戦いは監督に注目してください。おもしろい野球が見られるかもしれません。えっ?ここで?なんて野球のセオリーとは無縁の稲木野球はみているこちらがハラハラです。

■オイスカ
昨年まで王者静高の投手コーチをしていた、元南海ホークスの大久保学さんが今年から監督になりました。本格化するのはこの先かもしれませんが、どんなチームを作り上げたのか楽しみです。

■佐久間
佐久間の名前で出場するのは今年が最後です。2017年からは浜松湖北の分校になることが決まっています。佐高の名前で知られる佐久間高校が最後の夏の臨みます。

注目選手をピックアップ

わたしが注目している選手です。

【投手】
○横尾 蓮太(静清)
いい選手と言われる選手のほとんどが春から夏にかけて体重を増やします。これがもっとも大事なんです。昨年秋の大会では76キロだった体重を85キロまで増やしました。横尾くんは投げるたびに速くなる印象です。昨年、夏の大会で静高の村木くんが初戦の日大三島戦で自己最速の146キロを記録しましたが、もしかしたら横尾くんこの大会で自己最速の148キロを超える球を投げるかもしれません。
MAX148キロの横尾くんは今年の静岡県の最速ピッチャーです。速いストレートにキレのあるスライダーはプロ注目の逸材です。

○谷脇 亮介(常葉橘)
とにかく三振が取れるピッチャーです。やや細い印象だった身体もピッチャーらしい身体つきになりました。以前は速いというよりキレがあるピッチャーという印象でしたが、スピードが加わりいよいよ本格化してきました。

○村木 文哉(静岡)
腰痛のために春は一度もマウンドに立つことはありませんでした。今はすっかり完治して最高の出来とのことです。大舞台を経験している彼がマウンドにいるといないでは全然違うでしょう。完全復活した村木くんに注目です。

○平林 萌 (知徳)
スプリットを自在に操るサウスポーです。ワンバウンドになるスプリットにバッターはことごとく手を出してしまいます。平林くんはピッチャーでありながら、4番を打つ知徳の要です。

○中川 真杉(日大三島)
小学生のとき、ものすごい速いボールを投げる子がいると評判だったのが中川くんです。豪速球というイメージはありませんが、変化球に磨きがかかっています。独特のバッティングフォームにも注目です。

【捕手】
○叺田本気(菊川南陵)
菊川南陵の攻守に渡る要です。とくに肩はすごいです。すごいという以外表現のしようがありません。初戦は足を使う飛龍戦。この対戦は1回戦屈指の好カードです。

○枷場 悠我(知徳)
エース平林くんのワンバウンドになるスプリットもキャッチャーの枷場くんはまず後ろに逸らすことはありません。枷場くんがキャッチャーだからこそ平林くんも安心してスプリットを投げることができます。7番を打っていますが一発もある強肩強打のキャッチャーです。

■一塁手
○伊藤 翼咲(藤枝明誠)
高校通算51本塁打は今年の静岡県No.1です。夏の大会を前にしてホームランを量産しました。何と言っても彼の魅力は飛距離。恵まれた身体から放つ打球の飛距離に注目です。プロ注目のスラッガーです。

■二塁手
○堀 慶一朗(常葉菊川)
常葉菊川のセカンドというと、町田友潤さんを思い出します。町田さんは甲子園では『セカンドに打ってしまえば望みはありません』とアナウンサーが絶叫したほどの名選手でした。その町田さんを思い出させてくれる選手です。グラブ捌きに注目してください。

○長谷川 大樹(加藤学園)
加藤学園の試合を見る機会があったらぜひ注目してほしい選手です。163センチと小柄ですが、まさに職人。守備の安定感はチームにいい雰囲気をもたらします。送りバントだけでなく足を活かしたセフティーバントも絶妙です。身体が小さくても高校野球で活躍できることを教えてくれる選手です。

■三塁手
○鈴木 嘉基(静岡)
この選手がいるから静高が強いと言っても過言ではないでしょう。浜松南リトル時代では世界大会を経験。ホームランと打点の2冠王に輝いた逸材です。そして何よりも存在感です。エース村木不在のときでも、マウンドの下級生ピッチャーに歩み寄り、ひと言ふた言笑顔で声を掛ける姿は、守りにいい雰囲気を作り出しています。これは簡単なようですが、なかなかできることではありません。

■遊撃手
○雨宮 一成(加藤学園)
広角に打てる打力も魅力ですが、なによりも守備。プロ野球選手なみに深いポジションを取れるのは肩に相当の自信があるからでしょう。1度試合をみれば、いい選手とわかります。まちがいなく静岡県No.1内野手です。

○三瓶慎也(静岡)
昨年の甲子園を経験している選手です。まさにいぶし銀です。甲子園の敦賀気比戦では難しい低めのボールを右膝をガッチリ地面につけて決めたスクイズは忘れられません。秋の大会から控えに回る場面も多かったのですが、こういう選手がいるところも静高の強いところでしょう。

■外野
○鈴木 将平(静岡)
加藤学園の雨宮くんが静岡県No.1内野手なら、将平くんはまちがいなく静岡県No.1外野手です。というか、静岡県No.1プレイヤーでしょうね。こういう選手がプロ野球選手になるんだろうなって思います。走行守揃ったベストプレイヤーです。捕球してからの軽やかなステップにも注目してください。

○栗原健(常葉菊川)
高校通算45本。170センチと決して大きいとは言えない身体ですが、いつでもルフスイングの栗原くん、ソフトバンクホークスの柳田選手や西武ライオンズの森友哉選手を彷彿させます。フルスイングというのは実は難しいんです。

○加藤 脩平(磐田東)
140キロを超えるスピードボールは投手としてもとても魅力がありますが、わたしは打者として注目しています。MAX142キロ、高校通算25本の磐田東のカギを握るスラッガーはプロも注目しています。

実現したらおもしろい注目カード!

ここからは仮定の話になります。もし勝ち進んだらの話になってしまいますが...(あくまで仮定です)
実現したらおもしろい対戦を紹介します。

○日大三島×知徳【3回戦】
大会序盤では屈指の投手戦です。好成績を残している日大三島ですが、わたしが見る限り打力は今ひとつ。エース中川くんと左の海野くんの日大三島と平林くんと森居くんの知徳両サウスポーの対戦。平林くんのスプリットはかなりのものです。ほとんどがワンバウンドになるスプリットをバッターはことごとく手を出してしまっています。そしてキャッチャーの枷場くんは後ろに逸らすどころか、すべてキャッチ。バッテリーの信頼感がどこまで東部の王者に食い下がるか注目です。

○日大三島×浜松開誠館【4回戦】
昨年の開幕試合。当時キャプテン以外は全員1,2年生。経験を積んだ選手たちが最後の夏に臨みます。リベンジに燃える開誠館がどんな試合をするのか楽しみです。

○加藤学園×菊川南陵【2回戦】
2014年の2回戦で戦っています。そのときは菊川南陵に軍配があがりました。菊川南陵は初戦で昨年の準決勝校の飛龍と対戦します。このカードは1回戦屈指の好カードと言われています。どっちが勝ち上がってきても加藤学園にとって強敵になるでしょう。因縁の戦いになるこのカードは注目です。

○静岡×藤枝明誠【2回戦】
じつはこの試合の前に対戦する誠恵×藤枝明誠をピックアップしようと思っていました。誠恵のピッチャーの竹越くんは以前から注目していましたが、マウンドでの存在感は抜群です。誠恵にとって今大会もっとも厳しいところに入りましたが、竹越くんのピッチング次第ではもしかしてがあるかもしれません。

そして藤枝明誠×静高の対戦。静高は春の県大会では3位でしたが、投打のバランスもとてもいいですね。村木くんが復活した今、静高を倒すのは至難の業でしょう。藤枝明誠も優勝候補の一角です。4番の伊藤翼咲くんは夏の大会前にホームランを量産して高校通算51本まで伸ばしました。3番5番を打つ中田兄弟にも注目です。

○富士市立×下田【1回戦】
こちらは1回戦なので対戦が決まっています。春の大会では下田高校の分校、下田南伊豆分校が富士市立相手に0-54で負けました。兄貴分の下田高校が東部の強豪校に挑みます。

○沼津商×常葉橘【3回戦】
この対戦は楽しみです。沼津商の羽切くんはなかなかいいピッチャーです。常葉橘に分があるとはいえ、羽切くんの調子によっては春王者常葉橘を苦しめることになるかもしれません。

最後に...

とにかく夏の大会は球場に足を運んで生で高校野球を観戦することをおすすめします。選手たちの熱い思いが伝わってきます。主役はグラウンドで戦う選手たちだけではありません。スタンドから応援する控え選手も同じです。また、応援団をはじめとする、チアや一般生徒も同じです。夏の大会はすべてが主役なのです。

今はSNS時代なのでツイッターやフェイスブックを多くの高校球児たちも利用しています。選手の秘めた思いや気持ちもSNSを通じて伝わってきたりします。

ほとんどの選手が『3年間つらかったけど、仲間がいたからがんばれた』と言っています。

高校野球とはそういうものかもしれません。
勝ち負けを超えた何かがあるのでしょうね。