福祉施設のお祭りでたかたのゆめちゃんに出会う

たかたのゆめちゃんは、東日本大震災後に陸前高田で生まれたご当地キャラ。地元での人気はちょっとしたアイドル級。今日ここで出会えたのには驚いた。

知人から福祉施設でお祭りがあるよと教えられ、やって来たのは陸前高田市の高台にあるあすなろホーム、障害者就労継続支援事業所だ。訪ねてみると駐車場はもちろん、周辺の道路も路駐したクルマでぎっしり。お祭りの会場も大盛況。

ホーム利用者によるダンスパフォーマンスに、観客の人達も手拍子で参加する。その場で踊る観客もいる。キレのいいダンスに歓声が上がる。踊る人たちと会場の一体感がすばらしかった。

で、ダンスパフォーマンスの途中からゆめちゃんが登場。といって急に拍手が盛り上がるわけでもなく、当たり前な感じで青空の下のステージは進む。

それにしてもゆめちゃん、あんな大きな着ぐるみなのにダンスはなかなかのもの。でも、ホームの人たちのダンスを引き立てている感じが好感度高し。

ご当地キャラといえばイベントの盛り上げ役としてひっぱりだこ。とくにゆめちゃんのようにな人気キャラなら尚更だろう。ゆめちゃんのFacebookを見てみると、しょっちゅう他県や他都市のイベントに参加して、ステージや写真撮影会をしているようだ。まさにアイドルそのもの。そのイメージは、最初の写真みたいに、「センター独占!」といった感じのものだった。

しかし実際にゆめちゃんに出会って、イメージが変わった。

ホームの人たちのステージが終了してちょっと間があくと、町の人たちと握手したり、写真を撮ったり、お話し(本当はお話ししない設定ということなのだが)したりして、間を持たせつつコミュニケーションを頑張る。

さらに、あすなろホームと記された手作りステッキをプレゼントしたりして頑張る。

ここは大震災で大きなダメージを受けた陸前高田市。今日は障害者就労継続支援事業所、あすなろホームのお祭りだ。震災後生まれたご当地キャラのたかたのゆめちゃんが、みんなを盛り上げるためにお祭りに参加する。

梅雨の晴れ間の東北の青い空の下で、日常が刻まれていく。そこに陸前高田の人たちがいる。あすなろホームの人たちがいる。ゆめちゃんもいる。

うまく言葉にできないが、といって言葉にする必要もないのかもしれない。ひとりひとりには様々なことがあるにしても、それも含めて当たり前の日常がある。それがとうといことなのだと、今日もまた当たり前のことを当たり前に思うのだった。