【熊本地震点景】「東北→熊本」支援のかたち

岩手県陸前高田市が発行する広報誌に熊本地震についての記事が掲載されている。

[熊本大地震]被災地に向けた支援の恩返し

新聞でいうなら1面ともいえる最初の見開きに、被災した陸前高田の市民生活に関する情報が掲載された次のページのトップに掲載されていることからも、東北の被災地の人たちの九州の地震に対する心配な思いが伝わってくる。

最初の地震の約1週間後に派遣された市職員が手伝ったのは、救援物資の仕分け作業などだったという。

(参考写真)熊本県益城町の物資集積場(2016/04/20)

市職員の活動内容は、宇土市と益城町に物資を届け、現地で仕分け作業を手伝いつつ、追加で必要な支援を確認した上で土のう袋を陸前高田市から送る(広報には書かれていないが、屋根に掛けるブルーシートの重しや、雨で被災家屋の盛り土が壊れないようにするなど、いくらあっても足りない物資として選んだものと考えられる)、庁舎が使えなくなった宇土市には、震災発生直後の業務内容をまとめた資料を提供するというものだったと記されている。

広報誌の掲載内容は簡潔ながら、5年前の経験があるからこその確かさが感じられる。物資を届けるだけではない。ヘルプに行くだけでもない。記事の行間からは、現地の状況を把握するとともに、経験を伝えることに重点が置かれた活動だったことが感じられる。

4月14日発生
熊本地震
被災地に向けた支援の恩返し

4月14日、21時26分に最大震度7を記録して以降、熊本県や大分県で相次いで発生している熊本地震。今もなお余震が続いています。

東日本大震災のときに多くの支援を受けた陸前高田市は、熊本地震の被災地の支援に動き出しました。4月22日から28日まで職員3人を派遣。同じ全国青年市長会の会員市である宇土市に加え、益城町に水(2リットル×6480本)をはじめ、カップ麺やゴミ袋、紙コップ、トイレットペーパーなどの物資を届けたほか、現地では物資の仕分けを手伝い、他に必要な支援を確認した上で、さらに土のう袋を市から送りました。庁舎が使えなくなっている宇土市には、震災発生直後の業務内容をまとめた資料も提供しました。

また市内でもさまざまな団体が物資を届けたり、募金活動をしたりするなど支援の輪が広がってきています。

引用元:広報りくぜんたかた(6月1日号)

「何かあった時には恩返しに行くから」東北ではそんな言葉が当然のこととして語られる。山間部の小さな小さな食料品店にも、くまモンの募金箱が置かれていたりする。実際に熊本まで長駆支援に駆けつけた人も少なくない。

いまもプレハブで業務を続ける陸前高田市役所入り口に設置された募金箱

ひとりひとりの思いはしっかり伝わっているはずだ。

記事は次のように締めくくられる。

5年前を経験した陸前高田市だからこそわかること、できることを—。支援の「恩返し」をしながら、一緒に復興に取り組んでいきましょう。

引用元:広報りくぜんたかた(6月1日号)

広報の記事の末尾の言葉からは、大震災を経験し、いまも立ち直りのために苦しんでいる東北の被災地の自治体の心情が吐露されているようにも思える。

繰り返してほしくないという東北の思いが、九州の自治体の人たちにも伝わりますように。