平成28年熊本地震では多くの建物が被害を受けており、いま改めて住宅の耐震性が問われています。
そのような中、先日、西日本新聞経済電子版で興味深い記事を目にしました。
熊本県の南阿蘇村に震度6強の揺れに無傷だった建物があるというのです。他にも大きな揺れに耐えた住宅はあるかと思いますが、興味を惹かれたのはその建材です。
なんとこの建物、発泡スチロールでできているというのです。発泡スチロールは、建築材として使用できるように空気の含有量を減らした特殊なものを開発したといいます。
この特殊発泡スチロールを考案し、実際に建物を造って使用しているのは「阿蘇ファームランド(熊本県南阿蘇村河陽)」。宿泊施設として利用しています。
阿蘇ファームランドは現在、周辺の道路や園内の一部施設が地震の影響を受けているため、一時的に休業(※8月の再営業を目指しているとのこと)しているものの、450棟ある特殊発泡スチロールの建物は全て無傷で、そのうち約200棟は今、被災された方550名が暮らしているそうです。
建物はドーム状の形をしており、室内は円形で広さは約40平方メートル。トイレや風呂も備わっているといいます。
上の写真が特殊発泡スチロールを使用した建物です。
とてもお洒落で可愛らしい外観ですが、それもそのはず。記事にも書かれていますが、阿蘇ファームランドの北川勝幸社長は以前、菓子製造会社を経営しており、次のような思いでこのユニークな建物を作ったそうです。
「楽しく泊まってほしくて、お菓子の家を思い付いた。昔は皆、お菓子の家に住みたいと憧れたでしょ」。
引用元:http://qbiz.jp/article/88624/1/
たしかに、私も子供の頃にチョコレートでできた家に住んでみたいと思ったことがあります。しかし、発泡スチロールに目をつけ、改良して実現させたことに頭が下がります。
特殊発泡スチロールの建材は劣化に強く、半永久的に使えるそうです。そして、ドーム型の形状のために風にも強いといいます。
また、空気の含有量が少ない特殊発泡スチロールとはいえ、厚さが20センチもあるのですから、断熱性も高そうで環境にも良さそうです。
気になる建設費は1棟700万円とのことですが、普及して単価が下がることに期待したいです。
今後、特殊発泡スチロールを始め、地震に強い建材の研究がさらに活発になり、大きな地震に対しても安心して暮らせる住宅を造ってほしいです。
それにしても、メルヘンチックな特殊発泡スチロールの建物を見ていると、一度泊まってみたくなりますね。