雨が降ろうと、暑かろうと、こどもたちの「どこか連れてって」の欲求はとどまるところを知りません。「でもなあ、人がたくさんいるところは疲れるからなあ」とおっしゃるお父さん、お母さんにおすすめしたいスポットのひとつが、電車とバスの博物館。今年2月にリニューアルオープンしたての交通系博物館ですぞ。
特徴は何といってもシミュレーターが充実していること。エキスパートモードもある電車の運転シミュレーターや模型電車を走らせるジオラマシミュレーター、懐かしの旅客機YS11の運転シミュレーター、さらにはとっても珍しいバスの運転シミュレーターなどなど。こどもたちの目はキラキラしっぱなし。
ここだけの話ですが、施設の充実の割には空いていることが多いのもおとなにとっては大きな魅力。さらに、昭和の香りがする旧高津駅の駅務室や、クラシックな車両も展示されているのです。
このかわいらしい電車は東急デハ200形204号。電車とバスの博物館に静態保存されています。デハ200形は玉川線(玉電)で1955年から1969年まで使われていた路面電車車両。下ぶくれで丸っこいスタイルから「ペコちゃん」とか「いもむし」と呼ばれて親しまれていたそうです。
そもそも渋谷と二子玉川をむすぶ玉川線が路面電車だったなんてびっくりです。玉電の渋谷駅は現在の渋谷マークシティの場所にあって、道玄坂の急坂を専用軌道で上って国道246号線に合流。何カ所かの専用線区間以外は路面電車として走っていたのだとか。その証拠が下の写真です。
写真は国道246号線と自由通りが交差する真中駅付近を走行中のペコちゃん。路面電車と自動車が同じ道を行き来していますね。当時は戦後の高度経済成長のまっただ中。自動車の交通量は年々増加し、さらに東名高速に直結する首都高速3号線の高架を建設するために、路面電車の玉電は1969年に廃止。しばらくバス輸送で代替した後、地下を走る新玉川線として1977年に再出発。現在は東急田園都市線として、神奈川県の中央林間駅から東京地下鉄半蔵門線を経由して、東武伊勢崎線の久喜駅、日光線の南栗橋駅(いずれも埼玉県)までの直通運転が行われています。
——そんなうんちくを学べたりするので、おとなも楽しめちゃうのです。
おとな向けのアピールに傾いてしまったので、その他の展示を写真でちょっとご紹介しますね。
こちらがバスのシミュレータ—。操作しているのはドアの開閉レバーかな? メーターもハンドルもシートの質感もレトロで渋いのです。
そしてこちらは実際の運転席で模型列車を運転するシミュレータ—。「運転士さんはね、スピードメーターや時計とかの計器を見ないで運転するんだよ」「えっ、どうして?」「運転中は進行方向をまっすぐ見て、安全確保するのが運転士さんの使命だから。スピードとか時間とか電車の具合はぜんぶ体で感じるんだって」「そんなの無理過ぎ! ちょっと聞いてみる」——と、コントローラーよりも電話が気になるボクなのでした。
プラレールを楽しめるコーナーもあるので、シミュレーターはまだちょっと難しいかなという小さなお子さんでも大丈夫ですよ。
思う存分遊んでもらっている間、おとなは懐かしい昭和の時代の駅の窓口や、戦争中、現在の小田急、京王、京急、相鉄などを併合して「大東急」と呼ばれた頃の路線図を眺めたり、切符鋏や腕章、昔の制服をじっくり楽しんだりもできるのです。
詳しいインフォメーションはこちらからどうぞ。
電車とバスの博物館
東急田園都市線宮崎台駅直結
※ 記事中の写真や説明はリニューアル前のものが中心です。いまではきっともっとすごいに違いない!