東西の文化が交わるトルコのイスタンブール。古来から数々の歴史的ドラマが繰り広げられてきた場所です。
この街は2つの大陸の架け橋でもあります。中央には幅およそ1.5キロほどのボスポラス海峡があり、その東側がアジア、西側がヨーロッパとなっているのです。
さらにヨーロッパ側には金角湾があり、この入江を隔てて新旧の市街が広がっています。イスタンブールには東西が交わる要衝の地だからこそある魅力が存在します。
この歴史ある街にはシリアからバスで向かいました。
ちなみにトルコを訪れるのは初めてのことではありませんでした。その5年ほど前に旅行したことがあります。
トルコは遺跡や自然、料理などたくさんの魅力に溢れています。何度も行きたいと思う素敵な国です。
しかし、この時はいくら時間があっても足りない世界一周の旅行中。訪れたことがある場所はカット、もしくは足早に先へ進むことにしていました。そのため、トルコはギリシャへ向かう経由地であり、これから始まるヨーロッパ旅行に備えて少し休息しておくために寄ったのです。
とはいえ、その休息場所にイスタンブールを選んだのには理由があります。
これはうまく説明できないのですが、この街の雰囲気がとても気に入っていたのです。イスタンブールにはイスラム教の国ならではのエキゾチックな雰囲気がありながらも、考え方や人々の暮らしはヨーロッパに近いものもあり、西洋の空気も感じるのです。前回に訪れた時、それがとても心地良かった思い出があり、また行きたいと思ったのです。
東洋と西洋が混在するイスタンブールのなかでも、それを特に表している有名な建築物のひとつをご紹介します。「アヤソフィア」です。
アヤソフィアは当初、ギリシャ正教の総本山として東ローマ帝国により4世紀に建設されました。しかしその後、東ローマ帝国がオスマン帝国によって滅ぼされると、イスラム教のモスクとして改修されました。そのため、一見するとモスクのように見えるのですが、内部にはモザイク壁画などの教会の名残もあるのです。
アヤソフィアは最初のトルコ旅行の際に見学したのですが、イスタンブールが文化の交差点にあることを物語るものとして今でも記憶に残っています。
東西の接点に位置するトルコには、他のイスラム諸国と比較すると西洋への理解を持っている方の割合が多いように感じられました。
これは訪れた時に感じたのか、それとも後からそう考えるようになったのか、定かではありませんが、ちょうど東西が交わる要衝にあり、異なる文化に接してきた歴史があったからこそではないかと思います。
つまりそれは、異なる価値観や考え方でも交流を深めれば、互いへの理解につながることを意味しているのだと思うのです。文化の十字路にあるイスタンブールは、紛争を減らす手段のひとつを示している街なのかもしれません。