ヨルダンのペトラ遺跡を後にすると同国の首都、アンマンへ。そして、急遽向かうことにしたのが隣国イスラエルのエルサレムです。イスラエルにはアンマンから2泊3日で行ってきました。
エルサレムはご存知の通りユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの異なる宗教の聖地です。街は新旧2つの市街に分かれており、聖地があるのは約1キロメートル四方ほどの大きさの旧市街です。
3つの聖地はこの狭い旧市街のなか、それぞれわずか数百メートルほどしか離れていない位置にあります。最初は、長く対立してきたこれらの宗教の聖地がこれほど近い場所に存在することに「なぜ?」と思うのと同時にびっくりしました。
しかし、それぞれの宗教について少し知ると、それほど驚くことではないようにも思えます。
と言いますのも、実はこの3つの宗教は「姉妹宗教」と言われるほど密接に関係しているのです。一番驚いたのは、呼び方こそ違うものの、いずれも同じ神を信仰していることでした。
ご存知の方も多いかもしれませんが、3つのなかで最初にできたのはユダヤ教です。聖典の旧約聖書はキリスト教の聖典でもあり、キリスト教はユダヤ教から派生したとも言われています。
イスラム教は3つのなかで最も新しく、7世紀に預言者ムハンマドが創唱したといいます。一部のイスラム原理主義者により、実際とは異なったイメージを持たれたり、イスラム教はユダヤ教やキリスト教を否定しているかのような印象を受ける方もいるかもしれません。しかし、イスラム教はユダヤ教やキリスト教を同じ「啓典の民(けいてんのたみ)」とし、モーゼやイエス・キリストなどをムハンマドと同じ預言者であるとしているといいます。
このようにキリスト教やイスラム教が生まれた際、それ以前にあったものの影響を強く受けていたからこそ、聖地がこれほど近くにあっても不思議なことではないのかもしれません。
同じ神を信仰し、聖典の一部が共通している3つ宗教は、本来、友好的な交流が行なわれていてもまったく不思議ではないはずです。しかし、それにも関わらず、長い間、争いが続けられてきたことは悲しく、また無念に思います。
もし、モーゼやイエス・キリスト、そしてムハンマドが今の世界を見たならばどのように思うのだろうか。本当に現在あるような宗教間の対立を望むのだろうか。エルサレムを訪れるとそのようなことを考えてしまいます。