ヨルダンを代表する観光スポットといえばここ、ペトラ遺跡です。映画・インディージョーンズの「最後の聖戦」にも登場したこともあり、見覚えがあるという方も少なくないのでは? ペトラは「世界七不思議」の現代版、「新・世界七不思議」にも選ばれた中東屈指の遺跡です。
ペトラ遺跡について
ペトラ遺跡は紀元前2世紀頃から400年ほど続いたナバテア王国の首都で、ヨルダン西部の荒涼とした砂漠地帯にあります。王国は交易で栄えたものの、西暦106年、ローマ帝国によって滅ぼされました。
その後、ビザンチン帝国、ウマイヤ朝と支配者が変わりながらも街は存続したものの、大きな地震などによってしだいに廃れ、最後は地元のベドウィンが外界とのつながりを断ってひっそりと暮らしていたそうです。
ペトラとはギリシャ語で「岩」などを意味しており、崖に囲まれた渓谷内にあります。そのため、外の世界とは隔絶された、秘密の都市遺跡のような感もあります。実際、1812年にスイス人の冒険家によって再発見されるまでの長い間、世界の人には知られていなかったといいます。
崖の間の細い道を歩いてペトラの遺跡へ
エジプトから船でヨルダンのアカバに入国してまず最初に向かったのが、同国で最も楽しみにしていたペトラ遺跡でした。
遺跡には最寄りの街に到着した翌日の早朝、歩いて向かいます。
ペトラの魅力はそこへ至るまでの道からすでに始まっています。隔絶された古代の都市へ行くには、高さ60~100メートルという崖の合間にある幅数メートルの道を1キロ以上歩いていく必要があるのです。
谷は狭く、さながら秘密の道。遺跡に足を踏み入れる前からちょっとしたインディージョーンズの主人公の気分です。崖の間に伸びる細い道を歩いていると、さすがに19世紀になるまで世界に知られなかっただけはあると思いました。
岩の裂け目のような中を30、40分ほど歩くとペトラ遺跡に到着です。古代の都の入口には、訪問者を出迎えるように「エル・ハズネ」があります。
エル・ハズネとはアラビア語で「宝物殿」を意味します。「エジプトのファラオの財宝が隠されている」とも伝えられてきたそうですが、現在では1世紀初頭にナバテア人の王の墳墓として造られたのではないかという説が有力なようです。
エル・ハズネは岩を削って造られており、その大きさは高さおよそ40メートル、幅25メートルです。中は特に装飾等のないシンプルな内装の部屋です。外観は、淡いピンクなどの色をした美しい岩もあいまって、まるで巨大な彫刻のような美しさがあり、一種の芸術作品のようにも思えます。
ペトラと言えば、エル・ハズネが有名ですが、広大な遺跡には数多くの古代都市の跡が点在しています。その数は数百とも言われ、一日あっても見て回ることができないほどです。
遺跡での移動手段は徒歩やロバです。荒涼とした渓谷内の移動もまた新鮮な体験となるかもしれません。
数えきれないほどあるペトラ遺跡の建造物のなかでも、エル・ハズネと同様に見るものを圧倒するのが、写真の「エド・ウィル」です。
もとは神殿として造られたそうですが、ローマ時代に修道院として使用されていたことからエド・ウィル――修道院――と呼ばれているそうです。
エル・ハズネと外観が似ていますが、ロケーションはかなり異なっており、開けた高台の上に造られています。約850段という長い石の階段を登った上にあるせいかエル・ハズネに比べると訪れる人も少なく、比較的静かに見学することができます。ペトラ遺跡へ行ったからには、ぜひ見ておきたい場所です。
ペトラ遺跡は朝早くから1日かけて見学しました。閉ざされた谷間に造られた古代都市はまさに「新・世界七不思議」に相応しい驚異の遺跡でした。
特に、崖の間の狭い道を歩いた先に突如現れるエル・ハズネを見た瞬間には、きっと鳥肌が立つような感動を覚えると思います☆