田老名物「どんこから揚げ丼」たまにはテイクアウトで

たろちゃんハウスを久しぶりに訪ねた。宮古市田老の人たちが暮らす仮設団地で最大規模のグリーンピア三陸みやこ。たろちゃんハウスはその敷地内にある。お目当てのひとつは善助屋食堂の「どんこから揚げ丼」。

のれんをくぐるとドアに貼り紙が……

どきっとした。こういう貼り紙は多くの場合、ああいうことの挨拶だ。前に訪れた時に聞いた、町にお店を再建するかどうか悩んでいるという話を思い出した。貼り紙の一文字一文字を読み進めていくのが苦しい。

貼り紙の内容は店舗の本設のための準備等で「臨時休業」することが多くなることをお詫びするというものだった。心配は杞憂に終わった。貼り紙には「地元に根を張った皆様に喜ばれるお店を一日も早く作れるよう邁進」との決意もしたためられていた。

よかった。安堵した。ほっとした。

テーブルに座るのももどかしくて厨房に声を掛けた。「前に来た時には、再建を迷ってらっしゃったから心配していた」と話すうちに、何となく思い出してもらえた感じだった。新しい店は以前の場所よりも北側、中学校の向かい辺りと教えてもらった。新しい町の様子を見ながら食べるのもいいかと思い、テイクアウトできるか尋ねてみると大丈夫だという。

発泡スチロール製の丼には、大振りなどんこの唐揚げがどーんどーんどーん。温泉卵も唐揚げの奥の方にちゃんと鎮座されている。ご飯には爽やかさを演出する隠し味のシソも乗っかっていて、お店で食べるのとまるっきり同じ。

品物を受け取って帰り際、本当によかったと声をかけた。厨房の中で女将さんの赤沼さんがにっこり微笑んだ。その笑顔を見られたのもよかった。

店を出ながら、以前女将さんと話した言葉を思い出した。

「続けたいって気持ちはとても強く持ってるの。70%くらい」

その言葉に驚いた自分は、こんなことを書いていた。

95%とか50%とか言われたら、ある意味納得したかもしれない。
でも、70%……。

現状の厳しさ。読めない将来。でも町の人たちに愛され続けてきたのれんへの愛着。それらがないまぜになったのが、70%という言葉なのだ。この宙ぶらりんな数字が、田老の現実を示しているのだと、考えるしかない。

引用元:絶品!どんこ唐揚げ丼を食した後に聞いたこと

70%が100%になってよかった。でもそれだけじゃないんだよな、とも思った。

今日は何も聞かなくてよかったのだと改めて思った。きっと店を再建していく上でも、たくさんのご苦労があるに違いない。だけど本設の店を田老の町中に再建することを善助屋食堂さんは決意されたのだ。

厨房の中の女将さんの笑顔を思い出した。スタッフのみんなも笑っていた。それでいいじゃないか。僕らお客は善助屋食堂の美味しい料理を「うまい、うまい」と食べればいい。お店が再建されたら「おめでとう」と笑顔で祝えばいい。

そして、田老に行きさえすれば善助屋食堂の美味しい料理がずっと食べられる幸せを、ずっと感謝して生きていけばいい。

お店で食べた時のどんこ唐揚げ丼。味噌汁も美味い!

potaru.com

たろちゃんハウス(善助屋食堂)

ご注意:Google Map地図上のレストランマークの位置は誤りです。(2016.2.3)