2015年11月12日 今日の東電プレスリリース

11月12日(木曜日)に公開された「福島第一原子力発電所の状況について(日報)」。前日からの変化や変更点から、事故原発がおかれている状況を考えます。

「日報」に登場する主な施設(Google Mapに加筆)

※ 情報を追加して更新します

所内共通ディーゼル発電機(A)で潤滑油漏れ

※11月12日午前9時50分頃、共用プール建屋に設置されている、待機中の所内共通ディーゼル発電機(A)(以下、「所内共通D/G(A)」という。)において、発電機反カップリング側の下部に潤滑油らしきものの滴下した跡を、パトロール中の当社社員が発見した。このため、同日午前10時31分に双葉消防本部へ連絡した。現場を確認した結果、他に、同日午前10時45分、発電機カップリング側下部にも潤滑油らしきものの滴下した跡を、新たに発見した。二箇所の滴下跡共に、所内共通D/G(A)の発電機軸受けカバーボルト部から軸受け用潤滑油がにじみ、下部に滴下したと推定した。なお、現在は潤滑油のにじみ及び滴下はないことを確認。その後、同日午前10時45分、潤滑油プライミングポンプの運転を行い、漏えい確認を実施したが、当該軸受けカバーボルトからの油にじみは確認されなかった。潤滑油滴下範囲については、発電機カップリング側が30cm×5cm(深さなし)の油溜まりを確認し、発電機反カップリング側は20cm×5cm(深さなし)の油溜まりを確認した。なお、同日午前11時39分、当該油溜まりについて拭き取りを行った。本事象については、同日午前11時43分に双葉消防本部より「危険物漏えい事象ではない」と判断された。建屋内の堰内床表面上にてしみ状に止まっており、当該箇所から、建屋外へ流れ出ることはないと考えている。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年11月12日

高性能多核種除去設備での漏洩の続報。23万ベクレルの汚染水が噴き出した原因は考えられないミス

※11月2日午前11時21分頃、高性能多核種除去設備において、フィルターのラインの切替作業を行っていたところ、当該ラインに設置してあるベント配管(空気抜き配管)より、水が漏れていることを当社社員が発見した。
水溜まりの範囲は、約5m×約10mであり、堰内に留まっており、外部への流出はない。なお、高性能多核種除去設備の運転を停止したことにより、漏えいは停止していた。(既出)

原因を調査した結果、高性能多核種除去設備の前処理設備を構成する弁の一つ(以下、「当該弁」という。)が開動作しないことを確認した。これによって、前処理設備が締切運転となり、系統内の圧力が上昇したことで逃し弁が動作し、逃し弁の下流側にあるドレン配管を介して、ベント配管※へ回り込み、その先端に取り付けてある異物混入防止用スクリーンから溢れて、漏えいに至ったものと判断した。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年11月12日

上記の資料によると、日報にある「弁の一つが開動作しな」かったことの原因は、駆動部と弁の間に噛ませなかればならなかったアダプターが設置されていなかったため、弁側に駆動力が伝わらず空回りしたことだという。

装置を更新した際に、動くかどうかの確認すらしていなかったという、驚くべき低レベルなミスによって、1リットルあたり23万ベクレルの全ベータの汚染水が噴き出してしまったということだ。

東京電力によるベント配管についての注釈は以下のとおり。

※高性能多核種除去設備が停止中に発生する水素を排出させるために設置した配管

当該弁が開動作しなかった原因としては、10月30日に実施した弁交換時に、弁駆動部と弁体を繋ぐアダプターを接続していなかったことにより、弁体側に駆動力が伝わらずに当該弁が動作しなかったもの。当該弁については、弁体にアダプターを接続し、正常に動作することを確認した。また、ベント配管の先端にある異物混入防止用スクリーンについては、逃し弁が動作した場合の溢水防止として、暫定的に閉止フランジを取り付けた。本事象の発生に伴い、11月2日より高性能多核種除去設備を停止していたが、当該弁が正常に動作することが確認できたことから、同日午後より運転を再開する。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年11月12日

【疑問】停止中に発生する水素を逃がすための配管に閉止フランジを取り付け(蓋をネジ止めしたということ)たら、発生する水素ガスはどうなるのだろうか。

2号機タービン建屋内で漏洩検知器発報。ポリエチレン配管から高濃度滞留水が漏洩の続報。漏洩の発生しなかった配管を使って滞留水移送を再開

漏えいの発生に伴い各建屋滞留水の移送を停止しているが、当該配管を隔離して、建屋滞留水の移送を実施できることが確認できたため、(既出)

11月11日午後4時2分より各建屋の滞留水移送を再開した。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年11月12日

1号機

◎日報に新規事項の記載なし

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・1号機ディーゼル発電機(B)室の滞留水を1号機タービン建屋地下へ断続的に移送実施中

2号機 11月8日から追記された滞留水移送を停止中の注記を削除

◎日報に新規事項の記載なし

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、2号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・2号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中

【注目点】11月5日のトラブル発生後、8日から追記された「※2015年11月5日に発生した2号機タービン建屋における滞留水移送設備からの漏えいにより、2号機タービン建屋からの滞留水移送を停止中。」との注記が削除された。

従来通りの「断続的に移送実施中」との表記に。

3号機 11月8日から追記された滞留水移送を停止中の注記を削除

◎日報に新規事項の記載なし

・復水貯蔵タンク(CST)を水源とする淡水を原子炉へ注水中
・原子炉および原子炉格納容器へ窒素封入中
・原子炉格納容器ガス管理システム運転中
・使用済燃料プール循環冷却系運転中
・増設廃棄物地下貯蔵設備建屋の廃樹脂貯蔵タンクエリア、廃スラッジ貯蔵タンクエリアの滞留水を、3号機廃棄物処理建屋へ断続的に移送実施中
・FSTR建屋から3号機廃棄物処理建屋の滞留水移送については断続的に実施中
・3号機タービン建屋地下→集中廃棄物処理施設へ高濃度滞留水を断続的に移送実施中

【注目点】11月5日のトラブル発生後、8日から追記された「※2015年11月5日に発生した2号機タービン建屋における滞留水移送設備からの漏えいにより、2号機タービン建屋からの滞留水移送を停止中。」との注記が削除された。

従来通りの「断続的に移送実施中」との表記に。

4~6号機

◎日報に新規事項の記載なし

◆4号機
・原子炉内に燃料なし
・2014年12月22日、使用済燃料プールに保管されていた全ての燃料の移動作業が終了。

◆5号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

◆6号機
・冷温停止中(燃料は全て使用済燃料プールに保管中)
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中

共用プール・水処理設備および貯蔵設備

◎日報に新規事項の記載なし

◆共用プール
・使用済燃料プール冷却浄化系運転中
・共用プール低電導度廃液受タンク水について、同タンクから集中廃棄物処理施設(高温焼却炉建屋)へ適宜移送を実施。

◆水処理設備および貯蔵設備の状況
・セシウム吸着装置停止中
・第二セシウム吸着装置(サリー)運転中
・RO淡水化装置停止中
・多核種除去設備(ALPS)停止中
・増設多核種除去設備ホット試験中
・高性能多核種除去設備ホット試験中
・モバイル型ストロンチウム除去装置停止中
・第二モバイル型ストロンチウム除去装置停止中

※高性能多核種除去設備は、H8タンクエリアのストロンチウム処理水の処理を実施していたが、11月2日の同設備建屋内での水漏れにより処理を停止。

サブドレン・地下水ドレン 一時貯水タンクBからの排水準備が進む

※サブドレン他水処理施設について、一時貯水タンクBの当社および第三者機関による分析結果[採取日11月2日]については同等の値であり、運用目標値を満足していることを確認。

引用元:福島第一原子力発電所の状況について(日報)|東京電力 平成27年11月12日

サブドレン・地下水ドレン 集水タンクの分析結果(10月31日採取分)