今月21日、東北の蔵王連峰(※最高峰熊野岳)に設置された防災サイレンとスピーカーの運用が始まりました。
ご存知かもしれませんが、蔵王連峰(※以降「蔵王山」と記載)は活火山。しかし、山頂近くまで道路などがあり、多くの観光客や登山者が訪れる山です。
設置された場所は想定火口である「御釜」近くの蔵王レストハウス脇。高さ約14メートルの鉄塔に取りつけられており、サイレンの警告音は約2キロメートル、スピーカーの音声はおよそ1キロメートル先まで届くそうです。
少し話はそれてしまいますが、昨年9月27日、御嶽山が噴火して多くの方が犠牲になりました。噴火は予測不可能であったとのことでしたが、発生する約10分ほど前に火山性微動、7分前には設置されていた傾斜計が山体の膨らみを計測していたといいます。
御嶽山の噴火では58人(※その他に行方不明者5人)もの方が命を落とされています。亡くなった場所について調べてみると、御嶽山頂にある神社と山荘周辺で34名、八丁ダルミと呼ばれる御嶽頂上(※剣ヶ峰)と王滝頂上を結ぶ約500メートルほどの稜線部分で16名の方が亡くなっています。いずれも屋外です。
屋内ついては、山頂付近の頂上山荘に数十人の登山者が避難していましたが、亡くなった方はいませんでした。噴石が屋根を突き破り、山小屋の中にも降ってきたそうですが、屋内で命を落とされたのは王滝頂上山荘における1人です。
噴石は噴煙より早く飛来するといわれています。御嶽山の噴火では、異変に気付いて最初の噴石が飛んでくるまでの時間は5秒ほどだったという証言もあります。
「もし、5分前に噴火を知ることができていたならば、被害状況はどのように変わっていたのだろうか」と、どうしても考えてしまいます。
多くの方が亡くなった頂上付近にある神社や山荘周辺から御嶽頂上山荘は目と鼻の先ほどの距離。八丁ダルミにしても、剣ヶ峰から王滝頂上まで歩いても下りで15分ほどです。もし、5分という時間があれば、いずれかの山小屋に避難できた人が多かったのではないでしょうか。
事前に噴火する可能性を知らせるものとして緊急速報メールもありますが、その場にいる全ての人が確実に、且つ速やかに情報を得るのに最も適しているのは、現時点では防災サイレン等ではないかと思うのです。
全国に47ある常時観測火山のうち、山頂や登山道に防災行政無線の屋外スピーカーが設置されているのは16火山(※ちなみに避難施設があるのは12火山)。被害を減らすためには、その他にも観測機器や観測データから警報を発するまでのシステム、退避施設なども必要ですが、今回の蔵王山に設置されたような防災サイレンやスピーカーを噴火する可能性が高く、観光客数が多い火山からできるだけ速やかに、そして、多くの場所に整備すべきだと思います。
蔵王山・蔵王レストハウス
参考WEBサイト
Text:sKenji