気温が下がり、過ごしやすくなる秋はトレッキングなどアウトドアでの活動に適した季節です。そこで、森や山など、陸上にいる危険な生物について、数回に分けてご紹介していきます。3回目の今日は「ヘビ」です。
日本にいる毒ヘビについて
日本にいる主な毒ヘビは「マムシ」、「ヤマカガシ」、「ハブ」の3種です。
マムシは沖縄県以外の日本全国に生息しています。体長は45~80センチほどで水辺や草むら、土手、山地、森林などにいます。基本的に夜行性ですが、曇りや雨の日には日中に活動することもあるそうです。
三角形の頭と体にある銭型模様、全長に対して胴が太いのが特徴で、体の色は黒、黄土、赤っぽいものなどさまざまです。
通常、踏んだりなどしないかぎり攻撃してくることはないと言われています。
咬まれると激しい腫れと痛みに襲われ(※軽い場合もあり)、広範囲に皮下出血が広がるほか、めまいや物が二重に見えたり、まぶたが下がるなどの症状があらわれます。年間1000~3000人が咬まれ、10人前後が亡くなっています。一度咬んだ後にさらに複数回咬もうとする習性があるので、振り払うなどしてすぐに逃げるようにします。
ヤマカガシは北海道と沖縄県以外の日本全国に生息しています。体長は成長すると1~1.5メートルほどで水田、湖沼、湿地帯、河辺などで多く見られます。
体の色は褐色からオリーブ色で、赤い斑点があるのが特徴です。ただ、変異種も多く、アオダイショウと間違えるケースもあります。
通常、踏んだりなどしなければ攻撃してくることはありません。
マムシやハブとは異り、毒牙が口の奥にあるために深く咬まれなければ、毒は入りにくいそうです。ただし、毒自体はマムシよりも強力で命を落とす危険性が高いと言われています。
咬まれると最初は軽い痛みと腫れがある程度ですが、数時間から2日以内に歯ぐき、鼻、傷口等からの出血や血尿、血便などがあります(※30分ほどで一過性の激しい頭痛を伴うこともあり)。重症の場合は脳内出血を起こして死亡することもあります。
ハブは沖縄県、奄美諸島に生息しています。体長は0.5~2メートルで、水辺や湿地帯のほか、森林、草むら、畑など木や草がある場所にいます。基本的に夜行性で夕方から夜間・朝方にかけて遭遇することが多いと言われています。
体の色は黄褐色で、黒い斑点が並んでいるものが多いですが、変異種もいます。
咬まれると激しい痛みがあり、傷口から出血します。そのほか、咬まれた周囲の皮膚や筋肉が壊死して深い潰瘍を残したり、症状が重い場合には腎不全を引き起こすこともあります。
以上が日本にいる主な毒ヘビになります。しかし、変異種がいたり、体の色も様々なものもおり、見た目でわからないこともあるかもしれません。
これはあくまでも参考情報ですが、無毒なヘビに咬まれた場合は傷口の周囲が膨張しないので、もし、傷口が腫れるような場合は毒ヘビの可能性が高いといいます。また、歯型でも毒ヘビかどうか判別できることもあります。
咬まれた場合の対応について
万が一、毒ヘビに咬まれた場合は応急処置をしてできるだけ早く病院へ行き、毒ヘビに応じた抗血清の投与などをしてもらいます。
応急処置は、咬まれたのが腕や足など、傷口よりも心臓に近い部位を縛ることができるならば、傷口から3~5センチの箇所を布などで縛り、毒が全身に広がるのを抑えるようにします。ただし、縛ったままでいると細胞が壊死してしまうので、30分に1回、ゆるめるようにします。
また、毒を吸い出すポイズンリムーバーなどの器具があればそれを用いて、ない場合は口で毒を吸い出します。
以前、毒ヘビに咬まれた場合は安静にしていた方がいいとされていましたが、最近の調査によると、走ってでも早く病院に行った方が重症化しないそうです。
ポイズンリムーバーは毒ヘビだけでなく、ハチなど毒を持っている他の生物に刺されたり、咬まれたりした場合にも役に立つので、頻繁に野外で活動される方は持っていると良いかと思います。
<「陸に生息する危険生物 Vol.4 ~イノシシ~」 へ続く>
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紹介:sKenji