日本中から注目を集めている安保法制の参議院中央公聴会。SEALDs奥田愛基(あき)さんの公述人としての意見陳述の文字起こしです。
奥田さんからは見ればおじいちゃん世代に近い5人の参考人の陳述につづいて、どんな発言をするかと思ったら、冒頭で一発かましています。
ご紹介にあずかりました大学生の奥田愛基といいます。SEALDsという学生団体で活動しております。
あの、すみません、こんなこと言うのは非常に申し訳ないのですが、先程から寝ている方がたくさんおられるんで、もしよろしければですね、話を聞いてもらえればと思っています。ぼくも2日間ほど緊張して寝れなかったので、ぼくも早く帰って寝たいと思っているので、よろしくお願いいたします。
もう議論の結論は出ています。今国会での可決は無理です。廃案にするしかありません
取り急ぎ読んでほしい後半部分を先にアップします。16分ほどの発言の10分30秒付近から。奥田さんが語った3つのテーマの2つめ後半の山場からです。
結局説明をした結果、しかも国会の審議としては異例の9月末まで延ばした結果、国民の理解を得られなかったのですから、もう議論の結論は出ています。今国会での可決は無理です。廃案にするしかありません。
わたしは毎週国会前に立ち、この安保法制に対して抗議活動を行ってきました。そしてたくさんの人々に出会ってきました。その中には自分のおじいちゃんやおばあちゃん世代の人や親世代の人、そして最近では自分の妹や弟のような人たちもいます。
確かに若者は政治に無関心だと言われています。しかしながら現在の政治状況に関して、どうやって彼らが希望を持つということができるというのでしょうか。関心が持てるというのでしょうか。
私は、彼らがこれから生きていく世界は相対的貧困が5人に1人と言われる超格差社会です。親の世代のような経済成長もこれからは期待できないでしょう。今こそ政治の力が必要なのです。どうかこれ以上政治に対して絶望してしまうような仕方で議会を運営するのは止めてください。
政治生命を賭けた争いとおっしゃいますが、政治生命と国民1人ひとりの生命を比べてはなりません。
何も賛成からすべて反対に回れと言うのではありません。私たちも安全保障状の議論が非常に大切なことは理解しています。その点について異論はありません。
しかし、指摘されたことにまともに答えることもできない、その態度に強い不信感を抱いているのです。
政治生命を賭けた争いとおっしゃいますが、政治生命と国民1人ひとりの生命を比べてはなりません。
まさに「義を見てせざるは勇無きなり」です。
与野党の皆さん、どうか若者に希望を与えるような政治家でいてください。国民の声に耳を傾けてください。まさに「義を見てせざるは勇無きなり」です。政治のことをまともに考えることがバカらしいことだと思わせないでください。現在の国会の状況を冷静に把握し、今国会での成立を、断念することはできないのでしょうか。
世論の過半数を超える意見は明確にこの法案に対し、今国会での成立に反対しているのです。自由と民主主義のために、この国の未来のために、どうかもう一度考えなおしてはいただけないでしょうか。
私は単なる学生であり、政治家の先生に比べこのような場所で話すような立派な人間ではありません。もっと正直にいうと、この場でスピーチすることも昨日から寝れないくらい緊張してきました。政治家の先生方は毎回このようなプレッシャーに立ち向かっているのだと思うと、本当に頭が下がる思いです。一票一票から国民の思いを受け、それを代表し、この国会という場所で毎回答弁をし、最後に投票により法案を審議する。ほんとにほんとに大事なことであり、誰にでもできることではありません。
それは、あなた達にしかできないんです。
仮に、この法案が強硬に採決されるようなことになれば、全国各地でこれまで以上に声が上がるでしょう。連日国会前は人で溢れ返るでしょう。
ではなぜ私はここで話しているのか。どうしても勇気を振り絞り、ここに来なくてはならないと思ったのか。それには理由があります。参考人としてここに来ていい人材かどうかわかりませんが、参考にしてほしいことがあります。
ひとつ、仮にこの法案が強硬に採決されるようなことになれば、全国各地でこれまで以上に声が上がるでしょう。連日国会前は人で溢れ返るでしょう。次の選挙にももちろん影響を与えるでしょう。当然、この法案に対する野党の方々の態度も見ています。本当にできることはすべてやったのでしょうか。私たちは決していまの政治家の方の発言や態度を忘れません。三連休を挟めば忘れるだなんて、国民をバカにしないください。むしろそこからまた始まっていくのです。
私にとって政治のことを考えるのは仕事ではありません。この国に生きる個人としての不断の、そして当たり前の、努力です。
新しい時代はもう始まっています。もう止まらない。すでに私たちの日常の一部になっているのです。私たちは学び、働き、食べて、寝て、そしてまた路上で声を上げます。できる範囲でできることを日常の中で。
私にとって政治のことを考えるのは仕事ではありません。この国に生きる個人としての不断の、そして当たり前の、努力です。
私はこの困難な4カ月の中でそのことを実感することができました。それが私にとっての希望です。
勇気を振り絞り、ある種、賭けかもしれない、あなたにしかできない、その尊い行動をとってください。
最後に私からのお願いです。SEALDsの一員ではなく、個人として1人の人間としてのお願いです。
どうかどうか、政治家の先生たちも個人でいてください。政治家である前に、派閥に属する前に、グループに属する前に、たった1人の個であってください。自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して、孤独に思考し、判断し、行動してください。
皆さんには1人ひとり考える力があります。権利があります。政治家になった動機は人それぞれさまざまあるでしょうが、どうか政治家とはどうあるべきなのかを考え、この国の民の意見を聞いてください。
勇気を振り絞り、ある種、賭けかもしれない、あなたにしかできない、その尊い行動をとってください。日本国憲法はそれを保証し、なにより日本国に生きる民1人ひとり、そしてわたしは、そのことを支持します。
困難な時代にこそ希望があることを信じて、私は民主的な、自由で民主的な社会を望み、この安全保障関連法案に反対します。
2015年9月15日、奥田愛基 ありがとうございました。
【SEALDs奥田愛基】 国会 平和安全 公聴会 2015年9月15日 最新
奥田さんの公述人としての発言全体の文字起こしもすでにネット上に上げられているようです。発言前半も文字起こしもやろうと思いましたが、すでに為された文字起こしという仕事からハフィントン・ポストさんへのリンクを紹介して、ここは先に進みたいと思います。